過疎
出典: Jinkawiki
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一般に農村や漁村・山村から労働の中心となる人々が流れ出て、人口が急激に減少した状態。その地域で暮らす人の生活水準や生産機能の維持が困難になってしまう状態を言い、そのような状態になった地域が「過疎地域」。生産力の大きい人口が減少し、消費の多い人口が残る。
過疎対策の歴史
昭和30年代以降の高度経済成長に伴い、農山漁村地域から都市地域に向けて若者を中心として大きな人口移動が起こり、都市地域においては人口の集中による過密問題が発生する一方、農山漁村地域では住民の減少により地域社会の基礎的生活条件の確保にも支障をきたすような、いわゆる過疎問題が発生した。 これに対処するため、昭和45年に議員立法により10年間の時限立法として過疎地域対策緊急措置法が制定されました。この法律においては、年率2%を超える人口減少が続く中で、人口の急激な減少により地域社会の基盤が変動し、生活水準及び生産機能の維持が困難となっている地域(=過疎地域)について、緊急に生活環境、産業基盤等の整備に関する総合的かつ計画的な対策を実施するために必要な特別措置を講じることにより、人口の過度の減少を防止するとともに地域社会の基盤を強化し、住民福祉の向上と地域格差の是正に寄与することが目的とされた。 昭和50年代に入ると人口減少率自体は落ち着いてきましたが、人口が著しく減少したことにより、地域社会の機能が低下し、生活水準及び生産機能が他の地域に比較して低位にあることが過疎地域の課題として捉えられ、こうした地域の振興を図り、もって住民福祉の向上、雇用の増大及び地域格差の是正に寄与することを目的に昭和55年に過疎地域振興特別措置法が制定された。 平成2年に制定された過疎地域活性化特別措置法においては、人口減少そのものに起因する問題とともに、過去の著しい人口減少に起因して若者が少なく高齢者が多いという人口の年齢構成の偏りの問題を合わせて、地域の活力が低下していることを過疎問題と捉え、将来に向かって活性化するための対策を講じ、もって住民福祉の向上、雇用の増大及び地域格差の是正に寄与することがその目的とされた。 そして、平成12年4月1日、平成21年度までの10年間の時限立法として、新たに施行された過疎地域自立促進特別措置法は、人口の著しい減少に伴って地域社会の活力が低下し、生産機能及び生活環境の整備等が他地域と比較して低位にある過疎地域の自立促進を図ることにより、住民の福祉の向上、雇用の増大、地域格差の是正に寄与するという従来からの目的に加え、過疎地域が、豊かな自然環境に恵まれた21世紀にふさわしい生活空間としての役割を果たすとともに、地域産業と地域文化の振興等による個性豊かで自立的な地域社会を構築することにより、我が国が全体として多様で変化に富んだ、美しく風格ある国土となっていくことに寄与することも目的としている。
過疎の特徴
1 引き続く人口減少と高齢化
現在の過疎地域の人口減少は、高度成長期のような激しさは見られなくなったものの、引き続き若者が流出することによる社会減(転出者が転入者より多い。)に加え、自然減(死亡者が出生者より多い。)が重みを増してきています。同時に、全般的に、さらなる高齢化が進行している。
2 地域産業経済の停滞
かつての基幹産業であった農林水産業が著しく衰退した上に、最近の経済環境のもとでは、過疎地域への製造業など新たな事業所の立地はほとんど望めない状況にある。
3 農村漁村の荒廃
人口減少や高齢化、産業経済の衰退で地域社会の活力が極端に低下しており、更に最近の医師不足など、まさに住民の命にかかる問題も深刻化している。また耕作放棄地が増加し、森林の荒廃が進み、多くの集落が消滅の危機に瀕している状況にある。
4 社会資本整備に残る格差
公共施設の整備も、道路など未だ不十分なものがあるほか、上水道、下水道、情報通信施設などのインフラ、医療・保健や住民の生活交通など、住民生活の基本的部分で都市地域との格差が残されている。
*参考文献*・
・(財)過疎地域問題調査会http://www.kaso-net.or.jp/
・中学地理用語辞典 山川出版社