アメリカの教育制度

出典: Jinkawiki

(版間での差分)

2009年1月29日 (木) 23:07の版

アメリカには、『教育バウチャー(Education Voucher)』と呼ばれる教育制度がある。これは、政府が父母に対して私立学校の授業料に充当できる一定額の現金引換券(バウチャー)を支給することにより、私立学校選択を支援するとともに、公立学校と私立学校との間に競争原理を働かせ、公立学校改善を促そうとする制度である。つまり、何もしなければ公立は私立に生徒をすべて奪われてしまうため、生徒を奪われたくない公立学校は自主的に教育環境を整えざるを得ないことになる、というものである。

教育バウチャーの起源は、経済学者フリードマンが1962年に著した「資本主義と自由」にさかのぼる。フリードマンは両親に公立学校の教育費と等しい額面のバウチャーが政府から支給されれば、このバウチャーは子どもが入学した公立・私立の学校教育費に充当されるため、両親は子どもを希望する学校へ転校させることによって、転校前の学校に不満を言うことができるとした。 また、政府によって換金されるバウチャーのもと、生徒獲得のため、その要望を満たす多様な学校が設立され、学校間の競争が起こり、教育の質向上が促されると考えられた。 バウチャー制度の事例として、アメリカ・ウィスコンシン州ミルウォーキー市では、1990年にウィスコンシン州が創設したもので、家庭の所得が公的困窮レベルの1.75倍(4人世帯で年間3万193ドル)以下の幼稚園児から高校3年生までを対象に、生徒1人につき5553ドルを上限にバウチャーを支給している。現在、対象生徒数は約9600人である。 このようなバウチャー制度には、合衆国憲法にある「政教分離違反」や、コストの問題、本当に教育的成果があるかといった論争もあり、賛成派、反対派に大きく分かれる。

参考文献:教育バウチャー 学校はどう選ばれるか 著者・訳者名:福井秀夫     :http://benesse.jp/blog/20071122/p75.html


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