チャータースクール3
出典: Jinkawiki
2009年1月31日 (土) 00:48の版
チャータースクールとは、1991年に米国ミネソタ州で制度化された新しい公立学校開講・運営システムのことである。
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仕組み
チャータースクールとは特別認可でスタートした公立学校。普通の公立学校とは違い、創設主体の市民・父母・教師が開設したい学校の構想をまとめ、地元の教育委員会に相談するなどして特別認可「チャーター」を申請する。「チャーター」が認められたら、いよいよ自分たちの学校を始めることができる。生徒一人あたり、年間4000~5000ドルを州が支出している公立学校運営経費として、生徒の人数分だけもらえるから、それで手作りの学校を運営していく。その代わりに有効期間(年数)も普通は決まっていて、その間に結果を出さなければ、チャーターの更新はないから存続できなくなり閉校となる。
特徴
チャータースクールは誰にでも申請可能であり、それを認可する公共機関は二つ以上あり、認可されたチャータースクールは学区オフィスから法的に独立しているが、公立校であるため政教分離や差別禁止の原則を守り、生徒の学業成績に結果責任を負う限りにおいて運営が許される。またチャータースクールは州の教育コードや学区の教育方針から自由であり、通学区域を持たない。その予算は従来校と同じ割合で生徒の人数分だけ州から給付される。従って新たな予算を設けない。そして従来校からチャーター校へ転任する場合、教員は恩給の権利と従来校へ戻る権利を保証される。
現状
1998~1999年度におけるチャータースクール在籍者の総数は252000人と推定され、カリフォルニア・アリゾナ・ミシガンの3州だけで全チャータースクール在籍者数の半数以上を占めている。人種構成は「白人優先」の批判が出ているが、黒人・ヒスパニックなど有色人種の方が高めの人種構成比になっている。一校あたりの規模は小さく公立学校全体の平均在籍者数と比較するとその3分の1にも満たない。生徒と教師の比率は生徒16人に対して、教師1人の割合である。
課題
①地元学区との共存、既存公立校との棲み分けをいかに実現するか チャータースクールは私立校と違って、生徒の頭数によって割り振られる公的資金で運営され、既存の公立校と分け合うことになる。しかし「分け合い」が「奪い合い」となると、対抗心と敵意で本来目指すべき相補的な関係が崩れてしまう。チャーターの認可・更新をめぐって地元教育委員会とチャーター申請・保持者間の関係悪化、トラブルへと発展する恐れがある。既存校と相互補完的な関係の中で共存し、協力し合うことが重要である。全米各地でチャータースクールをめぐる経験が蓄積されるにつれ、望ましい共存のあり方、適当な門戸の広げ方について、一定の合意が形成されていくことが望ましい。 ②施設(校舎)の確保の問題 せっかくチャーター認可を取得しても、その先で教育活動をする場が見つからず、実践に移すことができない。各州で開設資金を交付する制度を設け始めているが、一層の拡大と充実が求められる。 ③チャータースクールの教育パフォーマンス評価 チャータースクールは受け入れた子どもたちの学力を伸ばし、教育責任を果たす学校である。この教育パフォーマンス評価は主に州の学力標準テストで測られるが、それだけを重視して判定できるかどうかについて意見が分かれる。契約で明記されているのだから、学力標準テストで成績不振が続けば閉校するのは当然であるが、年に一度のテスト結果だけで判断することが問題視されている。独立した第三者機関が客観的な学校評価を行うことで学区教育委員会とチャータースクール間の軋轢が回避できるという提言もある。 ④民営チャータースクールの是正をめぐって、社会的な合意、共通認識をどう築いていくか 公立学校システムの中に、教育請負企業の参入を認めるべきか、また認めたならばどこまで許すかという公教育の基本原則にも関わる重要問題である。公教育に営利企業が入る余地があるのか、民間の人々がチャータースクールを作る場合「非営利」を絶対条件として課すべきか、今後様々な議論が起こるだろう。
(参考文献) 『チャーター・スクール アメリカ公教育における独立運動』鵜浦裕 『希望としてのチャータースクール-学校を校設民営-』大沼安史著