談合行為

出典: Jinkawiki

(版間での差分)

2009年1月31日 (土) 12:30の版

談合行為とは、公共事業において、競売または入札に際して、複数の競争者があらかじめ入札価格などを協定することをいう。「談合」のもともとの意味は「話し合い」である。だが、1994年に大手ゼネコンによる贈収賄事件によって「談合」が大きく社会問題として発展したのである。


目次

目的

談合行為には大きく分けて2つの目的があるそうだ。

1)過当競争の防止と受注調整

2)利益の絶対的確保

これらに関しての理由:日吉(2006)によると、日本の建設業者は諸外国と比較して全産業に占める企業数が多く、参入障壁も低いという。そのため、零細業者が乱立している状態であり、それが過当競争状態を生み出すのだという。過当競争を野放しにしておくと、受注金額を低くしてでも受注してもらうという動きが出始め、満足のいかない価格で受注をすることになり、結果的に手抜きや質的に不十分な工事がなされてしまう危険性がある。また、一つの業者が安値落札によって独占したがゆえに、他の業者を根絶やしにしてしまう恐れもある。そこでどの業者にもうまく仕事が回るようにする配慮が必要となってきた。談合行為は建設業者を守るためにあるといわれている。


談合行為の歴史

日吉(2006)によると、公共事業における談合行為は、江戸幕府の時代からあったという。もうすでにこの時代には入札制度が導入されており、その際、談合による落札が横行していたそうだ。その後、日本の近代化とともに公共事業はどんどん増え続け、「天の声」といわれる官製談合行為や談合行為を仕切る「談合屋」の登場など、談合行為の仕組みも多様化してきたという。その後も独占禁止法の制定や公正取引委員会による排除勧告が幾度も繰り返されたにもかかわらず、今日に至るまで談合行為という利益調整のメカニズムは継続してきたのだそうだ。


談合行為に対する批判

1)税金の無駄遣いにつながる談合

公共事業は税金で支払われる。その公共事業で利益優先の談合行為が行われたとしたら、実際の建設費用よりも何割か高くなるという現象が出てくる。つまり、税金が正しく使われなくなる恐れが出てくるのだ。

2)公平性の欠いた入札

本来入札とは、公平性を考慮して、どこの業者がどのくらいの金額で請け負うかについては非公開である。しかし、談合行為はある意味で公平性にかける行為であるゆえに、その暗黙の了解を知らない業者たちには不利となる。


談合行為における法的対策

いまのところ、はっきりした法的対策はない。ただし、公務員や議員など官公庁に属する人間が関与した談合行為(官製談合)においては、「官製談合防止法」によって処置が行える。


参考資料

日本総研HPより:日吉淳氏コラム (2009.1.30)

池上彰(2000) 「これが週刊子どもニュースだ」 集英社文庫

ウィキペディア:カルテル


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