新プラトン主義

出典: Jinkawiki

(版間での差分)

2009年7月11日 (土) 14:27の版

新プラトン主義

紀元3世紀から6世紀にかけてヘレニズム世界に現れた思想。プラトンの教義のうち、魂の不滅・超越的な善の原理・感覚で知覚できる世界と知性のみが到達できる実在の世界との事象の二元性に基礎を置く。 プラトンは、我々の属する物質世界、現象世界の上にイデア界(叡智界)をおいた。 このイデアという概念は、プラトン哲学の中心概念ともいえる。 イデアとは言ってみれば、完全にして普遍、永遠の真実性であり、物体としては捉えられない存在である。我々の感覚的世界の事物はこのイデアを原型とする模造であり、イデアを分有してのみ存在する。イデアは、我々の感覚的知覚の対象とはならず、理性的認識の対象である。ここで新プラトン主義は、この思想をさらに発展させたのだ。 ヘレニズム期の最も有名な提唱者はプロティノス(205-270)。数と比例の研究をしたピュタゴラス学派にも影響を与え、これと融合した。 アリストテレス主義の影響を受けたスコラ学派によって中世を通じて異端とされていたが、フィレンツェのメディチ家の私的アカデミーである「プラトン・アカデミー」によって新プラトン主義の著作がラテン語に翻訳され、その影響によりイタリアにおいてギリシャ・ローマの神々という異教(非キリスト教)の神を主題とするルネサンス美術を生んだ。プラトン・アカデミーはギリシャの神とキリスト教の神を同一視することによって本来異教の思想である新プラトン主義思想とキリスト教との折衷に成功したため、新プラトン主義は広くヨーロッパに受け入れられた。 観念的で完成された神的世界を大宇宙(マクロコスモス)、人間をその写しである小宇宙(ミクロコスモス)とする見方は、新プラトン主義に由来する。この照応関係のため、人間は内面に神を感知し得る存在とされた。 重層的な世界観の上位に神の次元を加えることにより、ルネサンスの世界観は「無限」の概念を得た。 ルネサンスは「古代の復興・再発見」と訳されることがあるが、これは実際には、本来有限で完結した世界観を持っていたギリシャ思想と反対の方向へヨーロッパを導いたことになる。

参考) http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1219314587 http://www7a.biglobe.ne.jp/~mochi_space/ancient_philosophy/neoplatonism/plotinus.html http://www5e.biglobe.ne.jp/~occultyo/shinpi/sinpuraton.htm http://yasumoto00.at.infoseek.co.jp/standort/10hagane.shtml


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