中年期クライシス

出典: Jinkawiki

2010年1月26日 (火) 01:51 の版; 最新版を表示
←前の版 | 次の版→

かつて中年期は人生の中で一番安定した時期だと考えられていた。しかし、近年において平均寿命の伸びや社会情勢の変化により、穏やかな中年期を過ごすのは難しくなってきている。むしろ、多くの葛藤や困難に見舞われる時期とよばれるようになった。こういったことにより、中年期クライシスというものが生まれた。中年期クライシスの具体例としては、体力・気力の低下、健康面の不安、社会的責任の増大、転職やリストラ、昇進や降格、単身赴任、家庭での役割の増加、子育てや子供の自立、近所付き合い、親の介護、更年期障害、熟年離婚などが挙げられる。

中年期に訪れる四つの危機

ベックは中年期に訪れる危機として四タイプをあげている。

①身体的活力の危機・・・体力よりも英知に重点をおいた生活へと切り替えていくことが可能かどうか。

②性的能力の危機・・・性的能力を基盤とした異性関係から、精神的な要素中心とした異性関係へと円滑に移行できるかどうか。

③対人関係行動の危機・・・対人関係の縮小という事態に際し、新たな人間関係を柔軟に構築できるかどうか。

④思考の柔軟性・・・自分個人の考え方に執着せず、新たな可能性を柔軟に思考できるかどうか。 このように人は中年の時期にそれまで自信を持っていたことに不安と疑問を感じ、再構築の必要を迫られている。

中年期クライシスの症状

中年期クライシスによって引き起こされる心理疾患には次のようなものが挙げられる。

①出社拒否症・・・仕事や職場での人間関係でストレスをためこみ、心身症や心気症に陥り、出社できなくなる症状のこと。通勤途中に突然不安にとりつかれ出社できなくなるタイプと出社途中に腹痛や下痢症状を起こすタイプがある。

②帰宅拒否症・・・家での居場所がないと感じ、会社が終わっても家に帰りたくないと思うようになる。実際にカプセルホテルを泊まり歩くサラリーマンもいる。主な症状はうつ状態で、不安感や恐怖感、さらに不眠や頭痛、下痢などの身体的症状を示すこともある。仕事ばかりする人で家庭を省みなかった人がかかりやすいといわれる。

③微笑みうつ病・・・リストラや経営危機、職場での板挟みなどにさらされている中年男性に多いといわれている心の病気。ストレスにおそわれた苦しく憂うつな気分を隠そうとして、不自然なほどににこにこと作り笑いをしたり、必要以上に明るく振る舞ったりする。そのため、周囲には一見元気そうに見えるが、ストレスがますますたまり、突然蒸発をしたり、自殺してしまうこともある。


kiba


  人間科学大事典

    ---50音の分類リンク---
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                          
                  
          

  構成