ベトナム 2005年教育法
出典: Jinkawiki
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ベトナム 2005年教育法
2005年教育法は、1998年教育法の改正法として、2005年の第10期第7回国会において可決されたものである。それによれば、ベトナムにおける幼児教育は、「生後3ヶ月から6歳までの乳幼児」を対象にするとされている。そして、幼児教育の目的は「乳幼児の身体的、情緒的、知的発達、審美眼の発達を促し、人格の基本を形成し、小学校に入学するための準備を行うこと」とされ、小学校への準備教育であるという目的規定が明確にされている。幼児教育に求められる内容としては、「乳幼児の心身の発達を促し、保育、ケア、教育の調和を図り、均整のとれた健康で活発な身体を育て、祖先や父母、教師、目上の人を尊敬・敬愛し、礼儀正しくする心を育て、兄弟姉妹や友人を敬い、正直かつ勇敢で、自然体で、美しいものを愛し、知識の理解を好み、学校に行きたくなるようにさせる」ことがあげられている。そして、教育・保育の方法としては、「乳幼児の全面的発達を促すため、遊びの活動を組織化すること、また、模範を示し、集団指導を行い、励ますこと」などがあげられている。
これにより、ベトナムでは「教育の社会化」がすすめられている。社会全体で教育を支えるという意味で、教育の諸負担を中央政府以外の様々な主体に負わせている。ベトナム人は「子育て、教育を社会全体で担う」という意識が深く浸透している。しかし、社会全体で教育を支える、というと聞こえはいいのだが、実際には活動への積極さや住民意識には大きな地域差が存在する。地域住民の教育参加が推進されるということは、地域住民の「質」が教育格差に直結することを意味するのだ。そのため「教育の社会化」を進めていったときに、「教育意識が高く、経済的な負担能力も高い地域」と「そうでない地域」との間で教育格差が拡大していくという問題がでてくる可能性は否定できない。ベトナムは、地理的にも民族的にも多様な国家であり、その初期条件から考えても地域間の教育格差は非常に大きいのである。非公立の教育施設設置が進むことで、都市部では高額な保育料を徴収し、コンピュータや外国語などを教育する私立幼稚園が増えてきてもいる。だが、山岳地帯や農村部では幼児教育施設がそもそも存在せず、存在したとしても通学が不可能という地域も多いのだ。そのため格差を一定にするのが困難なのだ。
解決方法としては貧困地域や山岳地帯に住む人たちを優遇していくことが必要である。教育を社会全体で行おうとすると、平等、格差、区別、優遇、差別とさまざまなバランス関係での問題が生じてくる。
参考文献 「ベトナムの2005年教育法について : 現状と建て前の折り合いの付け方に注目しながら」石村雅雄 著
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