高速道路料金の無料化
出典: Jinkawiki
←前の版 | 次の版→
2009年の衆議院選挙のマニフェストで民主党は「高速道路を原則無料にします」と約束した。そもそも高速道路が有料なのは、道路の建設に多大な費用がかかっているためで、料金収入で費用の元が取れれば無料になるはずなのだが、新しい道路を次から次へと建設するために、いつまでたっても元が取れないどころか、借金が積もり無料化のめどが立たなくなってしまった。現在これらの借金は「日本高速道路保有・債務返済機構」という独立法人が請け負っており、高速道路会社から徴収した料金収入を借金の返済にあてている。借金の残高はおよそ30兆円(09年度末)で、完済までにあと40年かかる予定である。しかし、高速道路が有料だとどうしても物流コストが高くなってしまい国内の経済にとって大きなマイナスである。高速道路が無料になれば、都市部と地方の間で物流が盛んになり、国内経済が活性化するというのが民主党の主張である。その経済効果は7,8兆円になるという試算もある。2010年高速道路の約2割にあたる1652キロが無料化された。対象となる区間ではETC搭載の有無にかかわらず、全車種が無料で通行できる。ただし、交通量を調べるために料金所は従来と同様に通過する。当初は無料化と同時に新しい割引制度も導入する予定だった。車種別に上限制度を設けるというものだったが、短い距離ではかえって値上がりになると批判を浴び、実質は見送られた。高速道路無料化には課題もある。最大の問題は借金の返済や維持費の財源をどうするかということである。特に巨額な財源赤字を抱えている現状では、今後無料化の区間を拡大していくことは難しい。他にも周辺の交通機関の収益が悪化する、渋滞が発生してかえって物流が滞る、CO2排出量が増加するといった反対意見もある。
・メリットとデメリット
メリット
1、地方と都市の物流が盛んになり経済が活性化 2、一般道路の渋滞が緩和される 3、無駄な高速道路が建設されなくなる 4、料金所が不要になり出入り口を低コストで増やせる
デメリット
1、 債務返済や維持費を税金で負担 2、 鉄道、フェリーなどの周辺の交通機関の収益が悪化する 3、 慢性的な渋滞の発生 4、 CO2排出量の増加
・日本高速道路保有・債務返済機構
日本国内の高速道路資産を保有し、高速道路に係る債務の返済を行うことを目的とする独立行政法人で、道路関係四公団の民営化に伴い平成17年10月1日に設立された。 同時に設立された高速道路会社経営の自主性を阻害しない必要最小限の組織であり、高速道路会社からの高速道路資産貸付料収入により債務を返済し、民営化から45年後に解散することになっている。 高速道路機構と高速道路会社との間には、45年以内での債務返済が可能となるように貸付料の額などを定めた協定が締結されている。 正式名称は独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構であり、略称を高速道路機構としている。
出典
まるわかり時事用語 ニュース・リテラシー研究所 編著
独立法人日本高速道路保有・債務返済機構WEB http://www.jehdra.go.jp/index.html