ウラン濃縮
出典: Jinkawiki
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ウラン濃縮(うらんのうしゅく)とは、天然ウランの中には、中性子が衝突すると核分裂をして膨大な熱エネルギーを放出するウラン235と核分裂しにくいウラン238がある。天然ウラン鉱石の中に含まれているウラン235の含有率はわずか0.7%しかなく、このままでは原子力発電所(軽水炉)の燃料として使用することはできないため3~5%程度にまで濃縮する必要がある。これをウラン濃縮という。 また、さらに濃縮を繰り返し、燃えやすいウランの割合を90%以上にした高濃縮ウランは核兵器に使われる。
・ウラン濃縮の目的
北朝鮮が2010年11月、寧辺(ヨンビョン)にある新しい施設をアメリカの専門家に見せた。原子力発電所(原発)の燃料を作ると言っているが、確認できるしくみがなく、核兵器を作ろうとしているのではないかと疑われている。 ウランは原発の燃料や核兵器の材料になる物質。 「ウラン濃縮」は、こうした目的に使う「燃えやすい」ウランを集めることだ。 鉱山から掘り出される天然ウランは、ほとんどが「燃えにくい」ウラン。燃えやすいウランの濃度は全体の0.7%だけで残りは燃えにくいウランである。 この燃えやすいウランを5~3%に濃縮して、コントロールして燃やし、出てくる熱を使って電気を作るのが原発。核兵器は、燃えやすいウランを90%以上にして、一瞬で爆発させる。 北朝鮮は「2千基の遠心分離器」を動かした、と説明した。燃えやすいウランが、燃えにくいウランよりほんの少し軽い、という特徴を利用した濃縮の方法だ。 両方のウランを含んだガスを、脱水機のような「遠心分離器」に入れて回すと、重くて燃えにくいウランが遠心力で外側に集まる。 一方、軽くて燃えやすいウランは中心に残るので、吸い出して集める。一度に分けられるのはわずかなので、多くの分離器で何回も作業を繰り返す。あとに残る燃えにくいウランは「劣化ウラン」と呼ばれる。 日本でも青森県六ヶ所村の日本原燃という会社のウラン濃縮工場で、1992年から原発の燃料を作っている。「核の番人」と呼ばれる国際原子力機関(IAEA)が立ち入り検査して、燃えやすいウランの濃度が5%以下で、核兵器を作っていないことを確認している。 しかし、北朝鮮にはこうした仕組みのない点が問題だ。 ウラン濃縮は核兵器につながる技術で、秘密が多い。
・身近なウラン濃縮
焦げ付かないフライパンに使われる「テフロン」やゴルフクラブに使われている鋼の一種は、ウラン濃縮が使われている。
参考・引用文献
http://www.jnfl.co.jp/business-cycle/1_nousyuku/nousyuku_03/nousyuku_03_01.html
月刊ジュニアエラ2月号 朝日新聞社
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