シエラレオネ共和国

出典: Jinkawiki

2012年1月26日 (木) 21:26 の版; 最新版を表示
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シエラレオネ共和国

アフリカ大陸、西アフリカ西部、大西洋岸に位置する共和国。 北にギニア、南東にリベリアと国境を接する。

面積:71.740平方キロメートル

人口:約600万人(2008年 UNFPA)

首都:フリータウン

民族:メンデ族、テムネ族、リンパ族、クレオール(黒人と白人との混血)

言語:英語(公用語)、メンデ語、テムネ語他

宗教:イスラム教60%、キリスト教10%、アニミズム信仰30%

産業:鉱業(ダイヤモンド等)、農業(コーヒー、ココア)


シエラレオネを取り上げる理由


シエラレオネと聞いて場所や国について知識を持った日本人は残念ながらとても少ない。2007年にシエラレオネ内戦をテーマにした「ブラッド・ダイヤモンド」という映画が公開されたのを機に同国を知った人もいるだろうが、教科書等にも出てこない国であることが認識度の低さにつながっている。

しかしシエラレオネは下記の大きな問題を持った深刻な国である。 ①平均寿命34歳 --- 1999年度平均寿命は世界最短の26才(世界保健機構データ)(参)世界の平均寿命は64.5才。

②生まれた子どもの4人に4人以上が5歳の誕生日までに死亡

③最貧国のひとつ ---- 何もかもが足りない

平均寿命が短い理由は、同国で産出するダイヤモンド資源などを資金源に10年余り続いた激しい内戦と、この内戦で多くの少年兵が徴兵され生命を落としたことが原因といえる。 ---1991年から2002年まで政府軍と反政府勢力・革命統一戦線(RUF)とが交戦し、ダイヤモンドの鉱山の支配権をめぐって大規模な内戦に発展、7万5000人以上の死者を出した。


内戦の背景


シエラレオネはもともと鉱物資源が豊富で特にダイヤモンドの世界有数の埋蔵国でもあり、資源国家としては豊かな国である。しかしながら政府は国民の生活向上のために資源を利用する政策を取らず、ダイヤモンドの利益はすべて戦争(内戦)に費やされたため、国民の生活水準は世界最低レベルとなっている。 貧困にあえぐ国民、特に将来に希望をもてない若者は反政府勢力を支持し、内戦は泥沼化し、貧困からの脱却への道筋は遠のいた。 内戦のため政府がダイヤモンドの利益を戦争に費やすことが、反政府組織の反感となり、さらに内戦の泥沼化を生み出す負のスパイラルとなっている。 この内戦は一方で、ダイヤモンドの大消費地先進国が一因となっている面もあり、このことから、日本も間接的ではあるが全く無関係のこととは言い切れない立場であるいえる。


血塗られたダイヤ


シエラレオネは1930年にダイヤモンドが発見されて以来、ダイヤモンド採掘を基盤とした輸出国である。ダイヤの産出量は世界第10位である。また、その品質は非常によく採掘も容易である。そのため伝統的に非合法な採掘と密輸が横行し、現在ほぼ100%が密輸されている。紛争の資金調達のため不法に取引されるダイヤモンドであるため「紛争ダイヤモンド」つまり「血塗られたダイヤ」といわれる。


最大の内戦の犠牲者


反政府ゲリラは子どもを誘拐し強制的に徴募して、子どもを兵士に仕立てあげた。8歳~10歳の少年兵士も珍しくない。少年兵士は偏った教育や洗脳により、ほとんどの少年兵士は一般市民を殺害した経験があり、殺人に対する罪的意識も欠落している。

少年を兵士に仕立て上げる手法としてゲリラは、反政府教育を行っている。洗脳後には両親を殺害を命じたり、隣人の手足を切断するように強要したりもする。 また、恐怖心を抱かないようにするための手段として麻薬を与えたりもしている。そのため少年兵の大多数は麻薬中毒者になってしまっている。  例え、ゲリラ組織から脱走できたとしても、故郷の村の襲撃に加わったことから故郷の村に戻れず、難民キャンプに逃げ込むことになる。 また、難民キャンプにたどり着けても、過去に殺した人の友人や家族がキャンプで暮らしている場合もあり、仕返を恐れ、常に生命の危険にさらされる過酷な状況に追い込まれている。


シエラレオネの現状


シエラレオエネでは2002年に10年にわたった内戦が終結しましたが、その後も国民のおよそ7割が最悪の「貧困状態」である。深刻な食糧不足が現在も続いている。戦火で畑は焼かれたまま放置され、作物を作る人がいなくなり、略奪により種籾まで失っているからだ。


人道的な支援が必要な問題


①インフラの整備---基本的なインフラ整備が遅れている。「安全な水」を入手できるのは国民のおよそ半分、「トイレなどの衛生施設」を使えるのは3分の1以下という状況であり、インフラ支援が急務。

②医療の支援---母体・新生児・乳幼児の生命が危険にさらされてる。 新生児の死亡率は56/1,000人、5歳未満児の死亡率は270/1,000人と世界で最悪で、妊産婦死亡率も1,300/100,000人と世界最悪。

③食糧支援---深刻な食糧不足が現在も続いており、餓死による幼児の死亡が後を絶たない。出産年齢にある女性の7割が貧血状態のため、低体重や発育不良の子どもが生まれる確率が高く、幼児期での高い死亡率の原因にもつながっている。 国連世界食糧機構(WFP)やカトリック援助団体カリタスは稲作のための種籾援助もしているがせっかく栽培しても収穫時に略奪されない保証はない。



参考


活動報告「シエラレオネ~忘れられた内戦」 http://www.jca.apc.org/unicefclub/unitopia/2002/Sierra.htm

外務省:シエラレオネ共和国 http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/s_leone/data.html

シエラレオネ内戦から生じた問題 http://tewokas.org/02sierraleone/02naisenmondai.html


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