ミレニアム開発目標

出典: Jinkawiki

2008年6月2日 (月) 06:12 の版; 最新版を表示
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ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals:MDGs)は第55回国連総会において掲げられた国連ミレニアム宣言、1990年代に開催された主要な国際会議やサミットで採択された国際開発目標を統合したもの。

平和と安全、開発と貧困、環境、人権と統治、アフリカ問題などを課題とし、2015年までに達成すべき8つの目標を掲げている。

これらの目標は、具体的な18のターゲット、48の指標によって明確に示される。

目次

概要

目標とターゲット

  • 1.極度の貧困と飢餓の撲滅
    • 1 - 2015年までに1日1ドル未満で生活する人口の割合を1990年の水準の半数に減少させる。
    • 2 - 2015年までに飢餓に苦しむ人口の割合を1990年の水準の半数に減少させる。
  • 2.初等教育の完全普及の達成
    • 3 - 2015年までに、全ての子どもが男女の区別なく初等教育の全課程を修了できるようにする。
  • 3.ジェンダー平等推進と女性の地位向上
    • 4 - 可能な限り2005年までに、初等・中等教育における男女格差を解消し、2015年までに全ての教育レベルにおける男女格差を解消する。
  • 4.乳幼児死亡率の削減
    • 5 - 2015年までに5歳児未満の死亡率を1990年の水準の3分の1に削減する。
  • 5.妊産婦の健康の改善
    • 6 - 2015年までに妊産婦の死亡率を1990年の水準の4分の1に削減する。
  • 6.HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延の防止
    • 7 - HIV/エイズの蔓延を2015年までに食い止め、その後減少させる。
    • 8 - マラリア及びその他の主要な疾病の発生を2015年までに食い止め、その後発生率を減少させる。
  • 7.環境の持続可能性確保
    • 9 - 持続可能な開発の原則を国家政策及びプログラムに反映させ、環境資源の損失を減少させる。
    • 10 - 2015年までに、安全な飲料水及び衛生施設を継続的に利用できない人々の割合を半減する。
  • 8.開発のためのグローバル・パートナーシップの推進
    • 12 - 開放的で、ルールに基づいた、予測可能でかつ差別のない貿易及び金融システムのさらなる構築を推進する。
      • (グッド・ガバナンス《良い統治》、開発及び貧困削減に対する国内及び国際的な公約を含む。)
    • 13 - 最貧国の特別なニーズに取り組む。
      • (1.最貧国からの輸入品に対する無関税・無枠)
      • (2.重債務貧困国に対する債務救済及び二国間債務の帳消しのための拡大プログラム)
      • (3.貧困削減に取り組む諸国に対するより寛大なODAの提供を含む)
    • 14 - 内陸国及び小島嶼開発途上国の特別なニーズに取り組む。
      • (バルバドス・プログラム及び第22国連総会の規定に基づき)
    • 15 - 国内及び国際的な措置を通じて、開発途上国の債務問題に包括的に取り組み、債務を長期的に持続可能なものとする。
    • 16 - 開発途上国と協力し、適切で生産性のある仕事を若者に提供するための戦略を策定・実施する。
    • 17 - 製薬会社と協力し、開発途上国において、人々が安価で必須医薬品を入手・利用できるようにする。
    • 18 - 民間セクターと協力し、特に情報・通信分野の新技術による利益が得られるようにする。


ミレニアム開発目標報告(2005年)

  • 1.極度の貧困と飢餓の撲滅

 1990年から2001年にかけて、1日1ドル未満で暮らす人々の総数は約2.5億人減少した。地域別に見るとアジア圏において特に改善が目立ったが、一方でサハラ以南アフリカでは状況は更に悪化し、極貧層の生活水準は低下し続けていた。また子供の栄養不足解消に至ってはほとんどの地域で顕著な改善は見られなかった。

 これらの取り組みは紛争や自然災害によってしばしば打撃を被る一方、貧困や飢餓が原因となって紛争が起こり、改善をさらに困難なものにすることもある。期間内の大規模な紛争や災害が今回改善の見られなかった地域に該当する例は多く、MDGsの更なる促進が必要であると認識された。


  • 2.初等教育の完全普及の達成

 地域によっては初等教育の完全普及が目前とされたものの、開発途上国、特にサハラ以南アフリカ、南アジア地域の非就学児の割合が全体の8割を占めている。今回はその地域内における経済格差、母親の就学状況に焦点を当て、そのどちらもが子供の就学に大きな影響を与えていることが解った。

 授業料の引き下げや無料化、給食の提供、授業内容の改善、家に近い場所への学校設置が、就学率および出席率の引き上げ案として提示された。


  • 3.ジェンダー平等推進と女性の地位向上

 前項の調査においては、女子の退学率が男子のそれを大きく上回ることも判明した。

 中学、高校とレベルが上がるにつれ、男女の就学格差はさらに広がっている。同様に有給雇用の比率でも男性が大きな割合を占め、職業的地位においても明確な差が見られた。全世界で国会議員に占める女性の割合はわずか16%しかない。


  • 4.乳幼児死亡率の削減

 経済発展のあった一部である程度の改善は見られたものの、1990年代以降はほとんどの地域で足踏み状態が続いている。

 こちらにおいてもサハラ以南アフリカ、南アジア2地域の割合が8割を占めた。これらの半数は肺炎、下痢、マラリア、はしか、エイズを原因としており、安価な医療措置でも大きな効果を上げることができることが解る。栄養状態を含め母子保健の改善を行うことが必要である。その指標の一つとして、2003年時点において子どもの3分の1が予防接種を受けられないでいるはしかの予防接種の普及率が挙げられた。


  • 5.妊産婦の健康の改善

 改善が必要とされる妊産婦死亡率の高い国々での成果が十分でない。

 一方で世界最貧国の一つであるバングラデシュでは、熟練助産婦、緊急出産施設の利用、家族計画プログラムの拡大への取り組みにより大幅な死亡率削減に成功している。

 この事例を参考に出産時の環境を充分なものにするための設備の拡充が必要であると判断された。


  • 6.HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延の防止

 エイズ等による死亡者数は年々増え続けるばかりである。一方でビジョンと指導力によりタイ、ウガンダでは感染率の低下に成功しており、今後の展望が期待されている。

 またマラリアによる被害も多く、「HIV/エイズ、結核およびマラリア対策のためのグローバル基金」の資金提供による取り組みが行われている。


  • 7.環境の持続可能性確保

 貧困地域では森林の伐採、先進国では温室効果ガスの多量排出により温暖化の促進は深刻である。過剰な排出の抑制のため京都議定書が採択された。

 温室効果ガス抑制の好例としてオゾン使用量の抑制に成功した点が挙げられ、こちらについては損傷したオゾンが今後50年以内に回復することが予想された。

 安全な飲み水の確保については全世界で改善が見られた。

 だが依然貧困地域では半数近くの人々がこれを享受できない環境に置かれていることを忘れてはならない。

 また途上国の都市部への人口移動によるスラムの過密化で、貧困層はさらに拡大している。各国での成功例を参考に、今後の改善が期待される。


  • 8.開発のためのグローバル・パートナーシップの推進

 年々開発途上国への援助額は増加しているものの、その使われ方については債務の返済や緊急事態への対応に追われており、将来の発展のために使われている額はそう多くない。 

 無論それらの援助は必要なことではあるのだが、量とともに質を高めることによって、的確な発展に繋げたい。その障害として貿易における関税や補助金による納税者への負担があり、対外債務の全額免除が期待された。


出典


  人間科学大事典

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