貧困問題2
出典: Jinkawiki
世界の地域別貧困率
国際貧困ラインに基づく地域別貧困率(2010年)
東アジア・太平洋州地域 12.48%
ヨーロッパ・中央アジア地域 0・66%
ラテンアメリカ・カリブ海地域 5・53%
中東・北アメリカ地域 2・41%(調査対象が総人口の50%未満)
南アジア地域 31.03%
サブサハラ・アフリカ地域 48.47%
全体 20.63%
貧困が引き起こす問題
貧困であるが故にさまざまな問題が立ちはだかる。
① 教育問題
教育を受けられないことによって就業の機会を逃してしまったり、職業に就いても低所得な仕事で貧困が親から子どもへと連鎖してしまったり、そして政治なども含む基礎的な社会参加が困難になってしまったりしてしまう。読み書きをはじめとする必要最低限の知識を習得していないということは、人間開発の点から、貧困そのものであると言える。開発途上国には家庭が貧しく、教育を受けられない子どもが大勢いる。それらの国では授業料などの負担が必要な場合があり、低所得の家庭の中には授業料などの教育費を負担できず、子どもを学校などの教育施設に通わせることができない家庭も多く存在する。教育へのアクセスが損なわれてしまうと、非識字率も高く、計算もままならない程の教育の未発達な状態が起こるため、技能習得や職業訓練の機会損失ということも生じてしまう。
② 保健医療問題
開発途上国の貧困層の人々は必要な栄養を欠いた食生活、汚染された飲料水や風土病の流行など、病気になりやすい生活環境の中で暮らしている側面と、必要な時点での保健・医療サービスへのアクセスが欠如している地理的および経済的側面、さらには民族や性による差別などの社会的側面などのさまざまな問題に直面している。また、貧困層が特定の感染症などの高いリスクにさらされていることも現状の課題である。特にHIV/エイズ感染の関係は、HIV感染の結果としての貧困と、貧困の結果としてのHIV感染の両面を把握する必要がある。貧困としてのHIV感染は、乏しい雇用機会のために性産業に就いたり、家族と離れて出稼ぎに出たりすることによる感染リスクが挙げられるほか、教育や医療サービスへのアクセスが制限されているため、予防手段を講じることができなかったり、気が付かないうちに家族やパートナーを介して感染を角田させるリスクが高くなっていたりする。一方HIV感染の結果としての貧困は、一家の働き手の喪失による困窮、治療費支出による家計圧迫などによって引き起こされる。
③ 女性問題
開発途上国における女性の社会参加の機会は限られており、女性の労働の多くが無報酬であったり、労働に見合う正当な賃金や評価を受けていなかったりと、開発途上国の女性は男性よりも貧困の犠牲を受けやすい立場になっている。そのため多くの問題を抱えていると言える。たとえば、女の子は、水汲みや食事の支度、きょうだいの世話などの家事をまかされることが多く、たくさんの国で女の子の小学校就学率や識字率が男の子よりも低いと指摘されている。また、10代で結婚されることもある女の子たちは教育の機会を奪われ、幼いうちに妊娠・出産を強いられた結果、命を落とす場合もある。紛争時には“兵士の妻”や世話係として誘拐されることもあり、女の子を言葉巧みに連れ出し、性産業や工場に売り飛ばす人身売買業者も後を立たないと言われている。 そのほかにも、女性は、家事育児、介護など、収入にならない労働に従事し、農地や家畜などの生産資源を相続・所得できない傾向にもあることから、家庭内の発言権は弱まってしまう。また、HIV/エイズに関する情報や知識が少ない上、生計をたてるため、性産業につくなどの理由から感染の可能性の危険性が高まる恐れがある。このように、女性・女の子は生産活動や社会生活において重要な役割を担っているにも関わらず、教育・保健医療・政治参加などの基礎的な社会参加への機会を男性と平等に与えられていない。