ロマン主義
出典: Jinkawiki
←前の版 | 次の版→
ロマン主義の用例
「ロマン主義」はよく使われる言葉ではあるが、誤って用いられることがおおいことばでもある。この言葉は正反対のげんしょうについてさえ、もちいられることがあるのだ。たとえば19世紀に入って間もなく、一部の人々は過去の価値観を完全に否定し、啓蒙時代の人々と同じくらい徹底的に過去の遺産を葬り去ろうとした。その一方で、古くからの慣習や制度を何としても守り続けようとした人々もいた。このどちらの人たちも、ロマン主義と呼ぶことができるし、また実際にそう呼ばれてきたのである。彼らは目指す方向は違っても、知的な分析よりも人間の感情を重視するという点では共通していたからだ。
ヨーロッパ文化とロマン主義
ロマン主義はヨーロッパ文化の中に、様々な形をとって現れることになるが、そのほとんどが啓蒙思想に対するなんらかの反発から始まったものだった。科学万能主義に対する不信感であることもあれば、合理的な利己主義に対する反感だったこともある。けれどもロマン主義の本当の起源はもっと深いところにあった。宗教改革によって、伝統や儀式よりも個人の内面が重視されるようになったことそこが、ロマン主義の出発点だったのである。 ロマン主義は個人としての誠実さや自己実現、道徳的な向上などを、何よりも重視しているため、プロテスタントとの共通点も多く、いわば世俗的なプロテスタント主義とみなされていたのだ。ロマン主義は19世紀を通して大きな影響力を持ち続けたが、大抵は痛ましい結果をともなった。そしてロマン主義は20世紀に入ると、ヨーロッパ文化のもつ活力の最後の現れとして、世界各国に大きな影響を及ぼすことになるのだ。
参考文献
・「ロマン主義」 リュディガー・ザフランスキー 法政大学出版局
・「政治的ロマン主義」 C・シュミット 未来社
HN・YOROP209