社会的格差
出典: Jinkawiki
社会的格差とは、差異化や支配のプロセスによって生み出される人間の相互作用や集団、制度における差異」のことである。それらは、多くの場合、異なるグループ間にみられる可視的な違いに基づいている。しばしば、肌の色、性別、容姿といった生物的な要素のパターンを確立させるために、ほかのグループを仕事や社会生活の領域から排除したり、低賃金しか支払わなかったりする差別的な状態が生み出されることがある。このような方法であるグループは、好ましい条件をつくり出し、別のグループを支配するのである。これは、人種やエスニシティ、性別やジェンダー、階級、年齢に付随して起こったことである。
これらの格差は、ある人々を排除し、そのほかの人々に恩恵をもたらすために、時として、身体障害や言語、性的指向のようなほかの要因とともに、すべての社会において存在している。差異化と支配の実践は、社会関係や制度体、集合などに影響を及ぼす。生物的な側面が関係するときには、身体的な弱さを理由に女性をいくつかの職業から排除するというやり方で、差異や格差が自然なことのようのみなされることが一般的である。生物的な差異がいくつかの状況のなかで問題となり得る一方で、「女性の居場所は家庭だ」というような露骨な主張が、しばしばある集団によって、この場合にはその主張を広める男性たちによる、長い支配の歴史を隠ぺいしてしまう。
下層階級の人々は、上級階級の人々と比べ、より頻繁に経済的に危うい状態を経験する。しかし、デンマーク政府やオランダ政府が行っているように、下層階級のサービス業就業者や事務員に効果的な保護の手を差し伸べることによって、経済的な被害を受ける危険性を低減することができる。
格差の諸次元（人種、階級、ジェンダーなど）は、相互に関係しあっているため、世界各地の貧しい農民女性は、階級内での地位やジェンダー差のためにさらなる格差を被っている。労働者階級や貧困層でもあるマイノリティの人々は、彼らの経済的地位や外見やエスニシティのために格差を被っている。
経済不況や帝国支配の拡大のような社会的危機の時代には、差異に沿った支配がとくに際立つことがある。経済不況の間は、マイノリティの人々が解雇の標的になるかもしれない。従属に関する新しい考え方や敵意に満ちた形態の人種差別が、植民地主義の拡大を正当化させるために生み出される場合がある。
人々は社会的格差を自由や敵意の否定として体験する。それに反応して、いくつかの排除されている集団は、集団のアイデンティティと以前に排除された潜伏能力を開発する諸運動を始める。国家独立運動や米国における市民権獲得運動、世界規模のゲイ運動やフェミニスト運動は、闘争とエンパワーメントのプロセスを示す事例であるといえよう。
『格差の世界地図』Ben Crow and Suresh K.Lodha 岸上伸啓訳 丸善出版
HN：sha
