ユダヤ人3

出典: Jinkawiki

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目次

ユダヤ人とは

ユダヤ人はヘブライ人とも呼ばれる。前2000年ごろからパレスチナ地方に定着し、ユダヤ教を発展させた民族であり、19世紀の近代国民国家の形成とともに、民族としての(ユダヤ人)認識が生まれた。 ユダヤ人は世界に離散したため、日常言語として、スファルディ系(スペインのユダヤ人)のラディノ語、アシュケナージ系(ドイツ、東欧のユダヤ人)のイーデッシュ語のほか、タット語(カスピ海沿岸)などを作った。居住地域の言語にヘブライ語などをまじえたもので、表記はヘブライ語またはローマ字を使う場合があった。また、近世、資本主義の勃興とともに実力を蓄え、学術・思想・音楽方面にも活躍する。===ユダヤ人の定義=== ユダヤ人には様々な定義が下されてきた。たとえば、タルムード(口承律法ミシュナーとその注解、討論たるゲマラ)には「偶像を否定するものはユダヤ人と呼ばれる」とある。サルトルは「他人によってユダヤ人と呼ばれる人」がユダヤ人と言った。 イスラエルの父と言われる初代首相のダビッド・ベングリオンは、「自分がユダヤ人たることを宣明し、ユダヤ的生活を送り、ユダヤ人の安寧を願うものはユダヤ人」と述べている。現在イスラエルでは「ユダヤ人を母とする者またはユダヤ教徒」としている。 ユダヤ人共同体はアム・イスラエルと呼ばれる。イスラエル共同体の意で、改宗によってその一員となった人も含まれるが、大半は古代イスラエルから先祖代々母方の血を伝って現代に至った人々である。

ユダヤ人の歴史(年表)

  • 前1270頃 モーセによる出エジプト
  • 前1100頃 ヨシュアによるカナン征服
  • 前1020  サウル、へブル王国建設
  • 前1004  ダビデ王即位(~前965)
  • 前997   ダビデ、エルサレムを首都にする
  • 前965   ソロモン王即位(~前930)、第一神殿建立
  • 前928   北のイスラエル王国(首都サマリア)と南のユダ王国(首都エルサレム)に分裂、南北王国時代に(~前586)
  • 前722   アッシリア・サルゴン二世によりイスラエル王国滅ぼされる
  • 前586   バビロニア・ネブガドネザル二世によりユダヤ王国滅ぼされる

      第一神殿の破壊とバビロン捕囚(~前538)

  • 前538   ペルシア帝国の支配下に(~前333)。ユダヤ人の帰還が許される
  • 前515   エルサレムに第二神殿建立
  • 前333   プトレマイオス朝エジプト、セレウコス朝シリアの支配(~前142)
  • 前167   セレウコス朝・アンティオコス四世がユダヤ教禁止令を発布
  • 前166   マカベの反乱(~前160)
  • 前142   ハスモン朝ユダヤが独立(~前63)
  • 前63   ローマ帝国による支配(~後313)
  • 前37   マタティアの反乱軍が敗北、へロデがユダヤ王に任命される
  • 前4    へロデ死去。ベツレヘムにイエス誕生
  • 6     ユダヤ、サマリヤ、イドマがローマ帝国の直轄領となる
  • 30     イエスの処刑
  • 66     ローマ帝国への第一反乱(~73)
  • 70     ローマ帝国。ティトス将軍が第二神殿を破壊する(残った西壁が「嘆きの壁」)

     ユダヤ人のディアスポラの始まり

  • 132    ローマ帝国への第二次反乱(~135、バル・コフバの反乱)
  • 135  地方名をペリシテ人に由来するフィリスチン(パレスチナ)に改称

       海外居住のユダヤ人の帰国禁止

  • 210頃  ミシュナーの編纂 
  • 313  コンスタンティヌス帝がキリスト教に改宗、ビザンチン帝国を建てる
  • 321  ケルンにユダヤ居住区ができる
  • 379  テオドシウス帝、ユダヤ教徒を公職から追放/このころ「パレスチナ・タルムード」成立
  • 490頃  「バビロニア・タルムード」成立
  • 553  コスティニアヌス帝、反ユダヤ法発令
  • 613  西ゴート、改宗を拒否したユダヤ教徒を国外に追放する。
  • 636  アラブ人とセルジュク・トルコの支配(~1099)
  • 740頃  中央アジアのハザール王国でユダヤ教に大量改宗が起きる
  • 1016   ハザール王国滅亡
  • 1099   十字軍の侵攻と支配(ラテン王国、~1291)
  • 1290   イングランドのエドワード一世がユダヤ人を国内から追放
  • 1291   マムルク朝エジプトの支配(~1516)
  • 1306   フランスのフィリップ四世がユダヤ人を国内から追放
  • 1348   ペストをばらまく犯人とされ、ヨーロッパ各地でユダヤ人が殺戮される
  • 1492   スペインでユダヤ教徒追放令が出され、大量の強制改宗が起こる
  • 1516   オスマン・トルコ帝国の支配(~1917)

      ヴェネツィアにはじめてゲットーができる

  • 1544   宗教改革者マルティン・ルターがユダヤ人を攻撃
  • 1569   ローマ教皇、教皇領からユダヤ教徒を追放
  • 1590頃  マラーノ、オランダのアムステルダムに定住
  • 1654   ユダヤ人がアメリカのニューアムステルダム(ニューヨーク)に移住 
  • 1656   イングランドのクロムウェルがユダヤ人の入国を許可
  • 1712   はじめての公認シナゴークがベルリンにできる
  • 1791   フランスの国民会議がすべてのユダヤ人に完全な市民権を与える
  • 1847   イギリスがユダヤ人に公職を開放
  • 1870   イタリアでローマのゲットーが廃止され、ユダヤ人差別が撤廃される
  • 1871   ロシアのオデッサでポグロム
  • 1881   南ロシア全域でポグロム(~1882)。リトアニア生まれのベン・イフダ、パレスチナに移住してヘブライ語復興運動を起こす
  • 1894   フランスでドレフュス裁判(~1899、無罪判決)
  • 1897   ヘルツル、スイスのバーゼルで第一回シオニスト会議を開催
  • 1905   ロシア(ウクライナほか)でポグロム(~1906)
  • 1911   最初のキブツがテガニアに建設される
  • 1917   バルフォア宣言(イギリス外相の英国ロスチャイルド家への書簡)

      アレンビー英将軍のエルサレム入城、オスマン・トルコの支配が終わる

  • 1920   全ユダヤでヘブライ語が公用語となる 
  • 1935   ナチス、ニュルンベルク法公布(ユダヤ人の市民権剥奪)
  • 1937   水晶の夜(ナチスのホロコーストの開始)
  • 1939   パレスチナのユダヤ人は連合国側に立ってナチスと戦う(~1945)
  • 1940   杉原千畝リトアニア領事代理、ユダヤ難民に通過ビザ発給
  • 1942   ヴァンゼー会議(欧州ユダヤ人の抹殺を決定)
  • 1947   国連がパレスチナ分割案を採択
  • 1948   ベングリオンがイスラエル独立を宣言、第一次中東戦争
  • 1956   シナイ半島で第二次中東戦争
  • 1967   第三次中東戦争(六日戦争)
  • 1968   スペインでユダヤ教徒追放令が解除。第四次中東戦争(~1970)
  • 1972   PLOがミュンヘン・オリンピック村襲撃
  • 1973   第五次中東戦争
  • 1979   イスラエル・エジプト平和条約の調印
  • 1981   サダト・エジプト大統領暗殺
  • 1982   イスラエル、レバノンへ侵攻(ガリラヤ平和作戦)
  • 1985   イスラエル、レバノンから撤退、安全保障地帯を南レバノンに設置
  • 1987   ガザ西岸でインティファーダー発生。反イスラエル・テロ激化
  • 1993   イスラエルとPLOがパレスチナ暫定自治協定に調印(オスロ合意)
  • 1994   ガザとエリコにパレスチナ自治区
  • 1995   パレスチナ自治拡大協定、西岸六都市でイスラエル軍撤退開始

      ラビン・イスラエル首相暗殺

  • 1997   イスラエル、ヘブロンから撤退を表明

古代ユダヤ人ー○○祭り

ユダヤの祭のおおもとに安息日がある。安息日の起源については二つの説がある。創世記の中の、神が仕事を完成し休んだのは7日目であるというものと、命記の中の、奴隷状態にあったエジプトからの脱出と結びついていることである。このように週の7日目が聖であるように、ユダヤ歴7番目の月が聖なる月で、新年が始まる。ローシュ・ハシャナ(新年)は雄羊の角笛の響きとともに始まる。新年から悔い改めの10日間が続き、その頂点にヨム・キプール(贖罪の日)がくる。この日は断食して、過去一年間の、神と自分自身と隣人に対して犯した罪の赦しを乞い、悔悛と祈りに過ごす。 ヨム・キプールの5日後、スコット(仮庵の祭)が始まる。本来的には収穫祭だが、イスラエルの民が約束の地にたどり着く前10年間砂漠を放浪したことを記念して仮庵を作り、そこで、祭りの8日間(離散地では9日間)住んだり食事したりする。新年から続いた祝祭気分が天に達するのは祭の最終日のスィムハット・トーラー(律法の喜び)で、秋の祭は一応終わる。この日は、一年かけたモーセ5書朗読の終了を祝い、新たに、創世記第一章を読み始める日でもある。 クリスマス近くにはハヌカ(奉献祭または灯明祭)がある。これは、紀元前2世紀マカベ一族がギリシアに反乱し、神殿を奪還して潔め、一日分しかない油で燭台を灯したら、奇跡が起きて8日間燃え続けたという故事に由来する。 3月にはプリム(仮装祭)がある。紀元前4世紀、王妃エステルがペルシアの高官ハマンの悪計からユダヤ人を救ったというエステル記にちなんだ祭であり、この祭から諧謔文学が生まれ育った。 ペサハ(過越しの祭)は3月か4月に来る。祖先モーセに率いられて奴隷生活から脱出しようとしたとき、神がエジプト人を撃ち、イスラエルの民の家を「過越し」て救ったことを記念し、春の訪れを祝う最も重要な祭である。ペサハはユダヤの祭日のうちで最古、かつ最大のものである。この祭日の最初の夜はセデルと呼ばれる。 この過越し祭の第2日から数えて50日後にシャブオット(7週祭)がある。初穂を神に奉納し、モーセに十戒が啓示されたことを記念する祭りである。

祭りの流れ

  • ティシュレ月1日、2日  新年(ローシュ・ハッシャーナー)
  • ティシュレ月10日    贖罪日(ヨーム・キップ―ル)
  • ティシュレ月15日    仮庵の祭(スッコート)
  • ティシュレ月22日    律法の喜び祭(シムハット・トーラー)
  • キスレヴ月25日~     宮潔め祭(ハヌカ―)
  • シュヴァット月15日   木の新年祭(トゥ・ビシュヴァット)
  • アーダル月14日、15日  くじ祭(プリム)
  • ニサン月15~21日    過越の祭(ペサハ)
  • イヤル月5日       独立記念日
  • イヤル月18日      ラグ・ベ・オーメル
  • シヴァン月6日      7週祭(シャヴオート)
  • アーヴ月9日       ティシュア・ベ・アーヴ

ユダヤ人になるには

ユダヤ人になるには、改宗(多大な学習と厳格な手続きを要する)する必要があるが、これは容易ではなく、審議も厳しい。日常生活の中でも多くの戒律を守らなければならない。 そのため、ユダヤ人になるには、まず相談にのってくれるラビ(ユダヤ教の教師)を見つけることから始める。しかし、そのラビがどの派に属するのかで、アプローチが違い、他派から認められない可能性がある。そのラビの指導あるいは改宗者の教室で、旧約聖書、ユダヤ教の概念、戒律、礼拝法、祝祭日、ライフサイクル、ユダヤ史、ヘブライ語、イスラエル、ホロコーストなどについて学ぶ。改宗審査は、3人のラビで構成されるベトディン(ラビ法廷)において行われる。合格すると、カバラット・オル・ミツボット(戒律厳守の誓い)をなすのだが、ミクベという斎戒沐浴槽でテビラ(受洗)し、男性であればブリット・ミラ(割礼)を受け、コルバン(犠牲の捧げものをする儀式)を経る。しかし、改宗手続きの明確な説明はない。

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