フェルメール

出典: Jinkawiki

2016年7月30日 (土) 11:08 の版; 最新版を表示
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17世紀初頭から18世紀中葉まで、全ヨーロッパを風靡したバロック絵画作品を生み出した有名画家の1人。

1 生い立ち

1632年10月31日、オランダのデルフトの新教会(ニウェ・ケルク)で洗礼を受け、受洗名簿に記載され、出生届が出される。洗礼の際の立会人の1人に、デルフトの画家レオナルト・ブランスルの親族と考えられるピーテル・ブランメルの名がある。 1653年4月5日、(当時21歳)カタリーナ・ボルメスと結婚。立会人のなかに、画家レオナルト・ブランメル(当時57歳)がいる。4月20日、デルフト近郊の村スヒップライデンでカトリックによる宗教上の式を挙げる(推定)。父の宿谷「メルレン」に新居を構える。12月29日、聖ルカ組合への加入を認められ、入会金6フロリン10スタイフェルのみを納める(全納し終えるのは1656年7月24日)。 1662年10月18日、聖ルカ組合の副会長に選出される。同組合は、収入を増やすために、徒弟入門の際の入会金を10スタイフェルから2フロリン10スタイフェルに値上げすることを決定する。 1675年12月15日、デルフトの旧教会(オウデ・ケルク)の記録に「ヤン・フェルメール、オウデ・ランゲンダイク居住の画家、当教会に埋葬」とあるが、死亡日時については記録はない。余白に、享年43歳で死亡した画家が、まだ未成年の子供たち8名を遺したと記されている。

2 家族

フェルメールの両親は1615年4月19日にアムステルダムで結婚。父レイニールはデルフト出身、母ダイムフナ(あるいはダイナ)はアムステルダム生まれ。レイニールは結婚当時、「カッファ」と呼ばれる壁掛けや家具をおおう絹織物を織る職工だったが、やがて妻とともにデルフトの中心地のマルクト広場の一角に「メヘレン」という屋号の宿屋(居酒屋も兼ねた)を経営。1631年には画商も兼ね始め、同年10月13日にデルフトの聖ルカ組合(画家・工芸家のギルド)に画商として登録。父が画商ということもあり、フェルメールは幼い頃からさまざまな作品を身近に接する機会が多かったであろう。また、フェルメールには12歳年上の姉がいる。 妻カタリーナ・ボルネスはホウダの富裕な良家の娘で、記録によると彼女の一家はカトリック教徒であった。フェルメール家は新教(プロテスタント、複音主義)であり、父は画商であったりと普通の家出身である。それらのことから妻の母マーリア・ティンスは当初この結婚には反対だった。妻の母親は市長を出すような名門家系の出で家柄の違いがあったためと思われる。また、結婚の際、デルフトの新教会で挙式をしておらず、近郊の村でカトリックの式をあげたものと推定される。これは、フェルメールがすでに妻の宗教であるカトリックに改宗していたからとも思われるが、確証はない。当時オランダではカトリック教会は禁制であり、カトリック教徒は公職に就くことができなかった。フェルメールとカタリーナの11人の子供たちはデルフト新教会の受洗名簿に1人も登録されていない、組合の長までつとめた画家が市の公職についていないことなどから、フェルメールはカトリックを信仰していたのではないかと考えられる。 1655年12月14日、父レイニールの葬儀の記録。遺産と共に父の借財も相続、また父の商売も引き継いだものと思われるが、確証はない。 1670年2月13日、母ダイムフナ、フラミングストラートで死去する。7月13日、「メルレン」を相続する。 1671年、姉ヘールトライトの死により、647フロリンを相続する(この金額は有能な職人の2年間の収入に相当)。

3 絵画の特徴

調和のとれた明瞭な色調や簡素かつ静謐でありながらも綿密に計算された均整な空間構成、光の反射やハイライト部分などを点描によって表現するポワンティエ(点綴法)、写実性の高い描写。また作品制作にカメラ・オブスキュラ(暗箱)を用いるなど、当時の光学や透視図法の研究を取り入れたと推測されるほか、非常に高価であったラピスラズリを原料とするウルトラマリンブルーを多用した。大半の絵がデルフトの街に住む中流階級層の室内での生活を描いた風俗画である。また、フェルメールが描いた部屋は2つしかなく、あとはその2つの窓のかたわらにさまざまな場面をセットしたにすぎない。よって彼は、行動範囲の小ささから、密室画家と言える。


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