EDM
出典: Jinkawiki
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EDMとは
EDMとは、エレクトロニック・ダンス・ミュージックの略であり、音楽ジャンルの一つである。そのまま直訳すれば「電子の;踊る;音楽」といい、シンセサイザーなどから生み出される音楽に乗り、みんなで踊って盛り上がることのできる音楽のことである。 EDMの特徴は何といってもクラブ・ミュージックともいわれるようにその派手さである。クラブなどによく見られるミラーボールのまばゆい光や、はしゃいだり大騒ぎしたりする人々のポジィティブな明るさを表し、その非日常感、パーティースタイルが背景となっている。クラブで踊り楽しみ、人々が盛り上がるために作られたため何も考えず聞くだけで元気になり、明るい気持ちになる。 EDMは2010年頃から海外で流行りだした音楽ジャンルであり、DJが中心となる音楽であるため、基本的に歌や歌詞がないのが本来の形である。アップテンポで単純な曲の構造を持つ強いビート、サビに向けて焦らすように徐々に盛り上がっていく曲調にのせ、重低音と独特のリズムでそのEDMの曲の個性が表される。
EDMの歴史
1980年代前半に、Rolandから発売されたシンセサイザーからすべては始まり、それがイギリスへと伝えられ、さまざまなサブジャンルを生み出してきた。EDMの起源を辿っていくとヒッピーカルチャーやレイブパーティーから派生したものと言われている。(レイブとはダンス音楽を一晩中流す大規模な音楽イベントやパーティのことである) アンダーグラウンドのムーブメントとして始まったレイブは、音楽に合わせて何時間も踊れる環境を作り出した。規制が緩くなりオールナイトでクラブが営業できるようになると若者は一層盛り上がりを見せ、クラブは一層拡大していった。しかし、1990年後半になると暴力事件、ドラッグの蔓延、死亡事故など若者のいき過ぎた行動が目立つようになり、世間からは大きなバッシングや音楽自体の偏見などを持たれてしまい、だんだんと収縮してしまった。 しかし、レイブが生み出した現代に通じるダンス、エレクトロミュージックは若者に根強く残っており、海外のDJを迎え、再び人々がパーティに押し寄せるようになると2000年以降、このダンスミュージック文化は世界的に「EDM」として普及していった。 EDMアーティストは海外の有名な歌手とコラボし、その曲をアレンジ、そこから本格的に歌手と共同でメインソングを手掛けるようになり、今までクラブに行かなかった若者にもEDMというものが聞かれるようになった。
日本でのEDM
日本での流行は2010年代からと、ここ最近で日本でこれまで流行らなかった要因は次のものが考えられる。
①日本に合わない派手さ
…EDMはクラブで派手に盛り上がるための音楽である。海外のEDMアーティストの曲を見てみるとそのPVはEDMの特徴である派手さが表れており、日本人の視点からみると少し下品であったり、派手すぎてついていけなかったりと感じるかもしれない。
『Afrojack&Matin Garrix-Turn Up The Speakers(https://youtu.be/dzHdo4yxidc)』
この曲に見られるように、クラブで盛り上がる男女のシーンが使われ、性の部分が大胆に表現されている。
②楽しめる場所がない
…これまでの日本では全国のクラブが風営法で規制されていた。EDMで盛り上がれるような場所が少ないというのは、日本でのEDMに対する知名度が低いということもうなずける。日本におけるEDMというのは、ハウスミュージックとして美容室やアパレルショップなどのBGMに使われるくらいのものだった。これにより日本人の意識では、EDMというのはそれほど目立つミュージックジャンルではなかったといえる。
③EDM業界において有名な日本人アーティストがいない
…日本でのクラブの規制や、EDMの知名度の低さとも関連し世界で活躍できる日本人EDMアーティストがいないということも日本で流行らなかった原因だと考えられる。
◎最近の日本におけるEDM
EDMは日本でもよく知られている海外のアーティストも多く自身の曲に取り入れており、日本でもEDMを音楽ジャンルとして聞ける機会が多くなった。 日本で人気のテイラー・スウィフトなども例に挙げられる。彼女の曲は元々カントリーミュージックを特徴としており、2012年の彼女の代表曲「We Are Never Ever Getting Back Together」にその特徴はみられる。
『We Are Never Ever Getting Back Together』(https://youtu.be/WA4iX5D9Z64)
しかし、最近ではEDMを取り入れ、別人のような曲調になっている。
『Shake It Off』(https://youtu.be/nfWlot6h_JM) このように、世界的にヒットした曲にもEDMミュージックがみられるようになった。これにより日本のアーティストにもEDMを取り入れるアーティストが増えてきたと同時に、日本のヒット曲にもEDMが使われているものが目立ってきたと言える。
・SEKAI NO OWARI の「Dragon Night」
・三代目 J Soul Brothers の「R.Y.U.S.E.I」「Summer Madness」
・RADIOFISHの「PERFECT HUMAN」
などが例に挙げられ、どれもランキングTOP10に入るほどの人気曲になっている。つまり、ただ単にJ-POPにEDMが浸透してきただけではなく、世の若者にEDMミュージックが支持され始め、どれも人気曲になるほどの熱を上げていることが分かる。
考察
日本の若者とEDM
現代と昔の日本の若者で違うのは、何と言ってもSNSの普及である。日本人の少し控えめといえる性格は人前で堂々と自慢することや、目立つことを嫌うことが多い。しかし、誰もがやっているSNSで容易になった「間接自慢」により、さりげなく自分のステータスをアピールできることで、我慢していた欲求を満たすことができるようになった。「パーティ-ピーポー(パリピとも呼ばれる)」という言葉にみられるように、明るくすぐにその場を盛り上げるパーティーチューンである音楽ジャンル、「EDM」が日本の音楽に多くみられるようになった。現代の日本の若者はSNSで自分のライフスタイルが、自分の知る人、知らない人関わらず多くの人々に公開することができる。このことが今の日本の若者のイベント好き、パーティ好きに大きく関わっていると考えられる。例えば10月31日のハロウィーンイベントの大きな普及がある。自分たちが思い思いの仮装をして夜の街を歩き、友だちや知らない人と盛り上がり写真を撮ってSNSに投稿する。自分たちのいつもとは一味違った見た目や、楽しい思いをして充実している姿をまさに「関節自慢」したいためである。スマホ・SNSの普及とともにこのハロウィーンの盛り上がりも目立つようになった。今の日本の若者のパーティ好きな社会的雰囲気・環境は、同じパーティやイベントで盛り上がるためにあるEDMシーンを盛り上げる要因になってもおかしくはないだろう。このEDMが流行りやすくなっているともいえる今のこの日本の環境は、昔のレイブ期のイギリスと似ている。日本の風営法も改正され、より若者がクラブなどで、夜遅くまで楽しめる環境ができてきている。今後、日本でよりEDMミュージックがより広く浸透し、さまざまな人に聴いてもらえるのではないかと感じる。