教育バウチャー制度3
出典: Jinkawiki
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教育バウチャーとは学校バウチャーともいうが、公立学校も私立学校も選択の対象とすることによって、学校間で競争をさせ、教育の質の向上を図ることを目的として、公費を支出しようとする制度である。 通常、補助金は学校に給付されるが、教育バウチャーはサービスを受ける側に補助金が手渡される。つまり、どの学校でサービスを受けたいか、市民の側が主体的に選ぶ制度であり、人気のある学校に生徒が集まる。そのため、学校側がより多くの補助金を得ようと、学校間で競争をし、良いとされる学校が生き残り、そうでない学校は学校として成立しづらくなるため、教育の質が高まると考えられている。 また、香港の研究では典型的な教育バウチャー制度の目的は、「①保護者の選択の幅を広げること、②学校間の競争を促すこと、③低所得家庭の子どもたちが私立学校に行けるようにすること」とされている。 また、アメリカでは学校バウチャーは、公立あるいは私立の学校で利用できる授業料を支給することで低所得家庭の子どもたちのための教育を改善することを目的とした政府補助金のこと」であるとしている。 これらのことから、教育バウチャーは教育の格差や、それによる貧困の再生産を止めるための制度でもあると考えられている。教育バウチャーは給付する対象(例えば、海外の事例では低所得者層のみに給付する場合もある)や使用できるサービス機関の範囲(例えば、公立学校のみで使える)などによって影響が大きく異なるものである。 また教育バウチャーは、経済的な理由で私立学校への進学をあきらめていた家庭にとっては朗報になりうるが、制度の導入によって今まで以上に多くの生徒が特定の学校を目指した場合、学校間の格差をより拡大してしまうということも懸念されている。 それから、コストがかなりかかるので、財源をどうやって国が確保するのか、教育にかかる費用のどこまでが教育バウチャーで賄えるのか、そもそも学校数の少ない地域では学校をあまり選べないためどうしたらよいのか、といったことが問題とされている。
嶺井正也・中川登志男(2007)「学校選択と教育バウチャー」 教育バウチャーって、何?|ベネッセ教育情報サイト http://benesse.jp//200711/20071122-73.html kyouiku