バイオマス資源2

出典: Jinkawiki

2019年1月14日 (月) 14:11 の版; 最新版を表示
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目次

バイオマスとは

 稲わらや建築廃材などの植物に由来する廃棄物、動物の糞などから、エネルギーや動力のもとになる物質を作りだすことができる生物由来の資源を「バイオマス資源」と呼ぶ。  ガス、あるいは液体・個体の形で得られる燃料をもとに発電を行ったり、自動車や船舶、飛行機などを動かす燃料を作る、身近な生物資源を使って石油製品に代わる製品を生み出していこうというのが「バイオマス利用」の基本となる考えだ。  バイオマス資源は大きく分けると、 (1)特定の陸生、水生の植物(生物資源) (2)これまで捨てていた生物由来の材料(未利用系資源) に集約することができる。  トウモロコシやサトウキビ、海藻類からエタノールや軽油、ガソリンなどを作り出すのが(1)の例だ。(2)の例としては、生ごみや下水処理後に出る汚泥、伐採された木の枝、動物の糞尿からメタンなどの可燃性ガスをつくって家庭に供給したり、発電を行ったりすることが挙げられる。  なお、植物から作られるバイオエタノールなどの燃料(バイオ燃料)を燃焼させて電気や機動力を得たとしても、「植物が光合成をするために空気中から取り入れた二酸化炭素をそのまま放出するだけ」であるため、理論上は地球を取り巻く水圏や大気中の二酸化炭素を増加させないといわれている。

燃料となる植物と問題

 サトウキビトウモロコシバームヤシなどを原料としたバイオエタノール (バイオマスエタノール)やバイオディーゼル燃料(BDF) が大量生産されるようになってきている。トウモロコシなどからは、エタノールだけでなく、プラスチックも作り出すことが可能で、こうした植物由来のプラスチックをバイオプラスティックと呼んでいる。  ただ、バイオディーゼルなどの製造が手放しで歓迎されているわけではない。東南アジアの熱帯のジャングルでは、バイオ燃料になる作物を作るために森が伐採され、森の下にあった腐葉土が大量のメタンを放出したり、燃えて二酸化炭素を排出したりしている。また、今後、世界的にさらに多くの食料が求められている時代に、トウモロコシや小麦などの食べられる作物を果たして工業用に回してもいいのかどうかという議論も起こっている。

固形バイオマス

 植物以外にも、藁や木質チップなどの固形物(固形バイオマス)を使うものもあり、森林資源の豊かな北欧などではこうした発電を盛んに行われている。  日本でも固形バイオマスをつかった小規模な発電が50か所前後つくられて稼働しているが、東日本大震災後、被災地において、震災で生じた大量の木材がれきを発電の燃料に使う計画が農林水産省を中心に進められており、近く1万kWクラスの発電所が複数建設されることになっている。  なお、北欧諸国と同時に、日本も木材資源が豊かな国であることから、震災がれきを使い果たしたあとは、伐採された木や枝、建築廃材などが有効活用される予定だ。

バイオマスの活用

 風力発電や太陽光発電に比べると、バイオマス発電は地味な印象がぬぐえないが、発電量の実態では立場が逆転する。  『自然エネルギー白書 2011』にみる2009年度の年間推定発電量は、バイオマスが11624GWhであるのに対し、風力、太陽光に地熱を足した発電量は9561GWh。バイオマスは三者を合わせたよりも多くの発電量を維持している。  どれでも、バイオマスに積極的な世界の国々と比較すると、日本はまだまだ遅れているのが実情である。バイオマス発電をしている国は世界で50か国以上あり、例えばスウェーデンでは石油を使った火力発電よりもバイオマス発電の方が大きな発電量になっている。『自然エネルギー世界白書2010』によると、2009年末の全世界のバイオマス発電容量は54GWと推定されている。

参考文献

  • 細川 博昭 (2012) 『知っておきたい自然エネルギーの基礎知識』ソフトバンク クリエイティブ

R.M


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