ヒンドゥー教5

出典: Jinkawiki

2019年1月19日 (土) 09:44 の版; 最新版を表示
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目次

概要

インドやネパールで多数派を占める民俗宗教またはインド的伝統をあらわす。(日本における神道のようなもの)ヒンドゥー教の信仰者の数は、インド国内でも8.3億人、インド以外の国の信仰者の数を合わせると約9億人とされている。信仰者数の多さは、キリスト教とイスラム教に続いて世界第3位である。ヒンドゥー教の「ヒンドゥー」は、西欧でつくられた用語である。

特徴その①

バラモン教の聖典やカースト制度(身分制度)を引き継ぎ、土着の神々や崇拝様式を吸収しつつ形成された「多神教」である。三神一体(トリムルティ)という近世の教義では、中心となる以下の主要な3大神がいる。
・ブラフマー…世界・宇宙に実存・実在の場を与える神。
・ヴィシュヌ…世界・宇宙の維持・平安を司る神。
・シヴァ…世界・宇宙を創造し、その寿命が尽きた時破壊・破滅を司る神。

特徴その②

身分(ヴァルナ)と職業(ジャーティ)による身分制度「カースト制度」が存在する。カーストは、世襲制で出生後にそのカーストを変えることはできない。ただし、現在の人生の結果により来世で高いカーストに上がることができる。カーストには、基本的な4つのヴァルナとカースト外の身分には以下のものがある。
1.ブラフミン(バラモン)…神聖な職についたり、儀式を行うことができる。
2.クシャトリア…武力や政治力をもつ王族、貴族、戦士。
3.ヴァイシャ…商業、農業、牧畜、工業、製造業などの職につける。
4.シュードラ(スードラ)…農牧業や手工業など生産に従事する広い意味での大衆、労働者。
5.ヴァルナをもたない人々
6.アウトカースト(アチュート)…ヴァルナに属さない人々。

さらに、ヒンドゥー教は他宗教からの改宗が可能な宗教でもある。

伝統的信仰と実践

信仰(専門用語ではサナータマ・ダルマという)は多様であるが、すべての信者は主要な点で共通である。1つは、古代の聖典である「ヴェーダ」に基礎が置かれていることである。ヴェーダには、多神教的な神への讃歌、人格神の姿をとった宇宙を司る力への祈り、瞑想により1つの永遠の真実を体得した賢者の格言も収められている。もう1つは、アートマンの輪廻である。人間の体は死ぬが、魂(アートマン)は新たな体を得て生まれ変わる。何に新しく生まれ変わり、どのような経験をするかは前世だの行為の結果「カルマ」(業)によりもたらされる。カルマを清めアートマンとブラフマンを認識するための霊的訓練は、実践され続けてきた。個人が永遠と調和するために呼吸法を用いる実践、聖なる言葉を繰り返し唱える実践、体内の微かなエネルギーを用いる実践、精神を集中するための視覚的技法、心を清めエネルギーを自在に流出させる身体技法などが行われる。その目的は、「サマーディ」個人の意識を永遠不変なるものと一体化させることにある。特にヨーガ(脚を組み深い瞑想に浸る)の実践はインドで盛んだが、より一般的なのは礼拝である。人々は信仰の対象を無数の神々の中から選ぶことができる。

参考文献

21世紀の宗教(2005) 蓮池隆広訳 春秋社

H.N くまぺでぃあ


  人間科学大事典

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