欧州連合(EU)
出典: Jinkawiki
EUとはEuropean Union、つまり欧州連合または、ヨーロッパ連合のことである。経済的統合を中心に発足した欧州共同体(EC)から発展し、1993年のマーストリヒト条約によりEUが発足された。ヨーロッパ各国が加盟し、経済通貨統合を進めるとともに、共通外交、安全保障の政策、警察・刑事法協力などの様々な協力を進展させる政治・経済統合体である。本部はベルギーのブリュッセルで、現在の加盟国は27か国である。
・現在の加盟国(27か国)
・原加盟国としてベルギー、オランダ、ルクセンブルク、ドイツ(当時、西ドイツ)、フランス、イタリア
・1973年加盟としてイギリス(一部は含まれない)、アイルランド、デンマーク(フェロー諸島は含まれない、グリーンランドは離脱)
・1981年加盟としてギリシャ
・1995年加盟としてオーストリア、フィンランド、スウェーデン
・2004年加盟としてポーランド、ハンガリー、チェコ、スロベニア、スロバキア、エストニア、ラトビア、リトアニア、キプロス(南キプロス)、マルタ
・2007年加盟としてルーマニア、ブルガリア
・また、現在の加盟候補国 としては、クロアチア、トルコ、マケドニア があげられている。
・総面積
434万平方キロメートルで日本の12倍。欧州連合と単一の国と考えると世界第7位の広さである。
・総人口
4.9億人で日本の3.9倍。欧州連合を単一の国と考えるると世界第3位の多さである。人口密度は114/km2。
欧州連合の歴史
・第二次世界大戦終結以前(1945年)
多くの人が犠牲となった第一次世界大戦より、欧州統合の概念がうまれた。リヒャルト・クーデンホーフ=カレルギーなどによりヨーロッパ連合ような機関が設立されたが失敗となった。
・1945年~1957年~ECSCの結成~
1945年 第二次世界大戦終結
1946年 東西冷戦が始まる
1948年 OEEC(欧州経済協力機構)の発足、ベネルクス三国の関税同盟が結成(EUの土台となる)
1949年 NATO(北大西洋条約機構)の発足
1952年 ECSC(欧州石炭鉄鋼共同体)が結成。原加盟国は仏、独、伊、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク
1955年 ワルシャワ条約機構の発足
1957年 ローマ条約の調印
第二次世界大戦により大きな損害を受けたヨーロッパでは、ドイツが再び平和の脅威とならぬように、石炭産出地域をドイツから分離し、ルール地方などは国際管理下におかれた。1946年にウィンストン・チャーチルにより唱えられた、ヨーロッパ連邦を求める声が高まり、1949年にヨーロッパ機関として、欧州評議会が創設された。1950年には、フランス外相ロベール・シューマンによりヨーロッパの石炭や鉄鋼産業の統合のための共同体が提唱された。その提唱をうけて、1952年には、仏、独、伊、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、また西ドイツはパリ条約に調印し、欧州石炭鉄鋼共同体を設立した。また、第二次世界大戦終結後よりドイツの工業生産は制限されていたが撤廃された。これによって、EUの第一機関となる、最高機関と共同総会が誕生した。最高機関の委員長はジャン・モネ、共同総会の議長にはポール=ヘンリ・スパークが就くこととなった。そして、1957年にはローマ条約により、EEC(欧州経済共同体)とEURATOM(欧州原子力共同体)の設置が定められた。
・1958年~1993年~ECの発足と拡大・EUの発足~
1958年 EEC(欧州経済共同体)とEURATOM(欧州原子力共同体)が発足
1960年 EFTA(欧州自由貿易連合)が発足
1965年 ブリュッセル条約が調印。EEC、EURATOM、ECSCの統合により、EC(欧州共同体)の発足が決定
1967年 EC(欧州共同体)の発足
1968年 EC内での関税同盟が完成。農業共同市場の発足
1972年 ノルウェーがEC加盟否決
1973年 イギリス、デンマークがEFTAを脱退してECに加盟。アイルランドのEC加盟
1979年 EMS(ヨーロッパ通貨制度)が発足
1981年 ECにギリシャが加盟
1986年 ECにスペイン、ポルトガルが加盟
1990年 ドイツの再統一、旧東ドイツ地域もECに加盟
1992年 マーストリヒト条約の調印により、EU(欧州連合)の発足を決定。EC内の市場統合が図られる
1993年 ECが元となり、EUが正式に発足
ECSC(欧州石炭鉄鋼共同体)と分離されていたEEC(欧州経済共同体)とEURATOM(欧州原子力共同体)は全く同一の会議を有していた。そのとき、共同体の施行機関は、ECSCは最高機関が、EECとEURATOMは委員会とされていた。各共同体は、それぞれの分野で統合をめざしていた。しかし、1965年には3つの共同体をひとつの機関下で統合することになり、ブリュッセル条約が調印された。そして、1967年にEC(欧州共同体)が発足した。ECの初期委員長にはジャン・レイが就任。 その後拡大が続き、1973年にはイギリス、デンマークがEFTAを脱退してECに加盟し、アイルランドもEC加盟。1981年にはECにギリシャが加盟。1985年にはグリーンランドとデンマークがECから離脱するものの、1986年にはECにスペイン、ポルトガルが加盟で、全体で12カ国となった。また、1990年にはドイツの再統一により旧東ドイツ地域もECに加盟した。 また、単一市場の創設がうたわれたり、外交政策に関する権限が拡張された。そのような中で、1992年、マーストリヒト条約が調印され、1993年に正式にEUが誕生した。 また、このころからトルコは正式にEUへの加盟の希望を表明し、現在もなお続けられている加盟交渉がはじまった。
・1993年~2004年~EUの拡大~
1993年 EU発足
1994年 ノルウェーがEU加盟否、EEA(欧州経済領域)の成立
1995年 オーストリア、フィンランド、スウェーデンが加盟。シェンゲン協定により、EU加盟国内での人の移動自由化
1997年 アムステルダム条約合意
1999年 単一通貨であるユーロの導入
2000年 OAU(アフリカ統一機構)との首脳会議開催
2002年 ユーロ通過の流通が開始。ただしはじめはイギリス、スウェーデン、デンマークを除いたEU加盟国
2004年 ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロヴァキア、スロヴェニア、エストニア、ラトビア、リトアニア、南キプロス、マルタのEU加盟。 欧州憲法草案を採択
1993年、ECの3つの柱構造を持つEUが発足した。マーストリヒ条約では、CoR(地域委員会)が設立され、1994年の初会合で議長にジャック・ブランが選出された。また、同年にEIF(欧州投資基金)、EIB(欧州投資銀行)が設立され、1995年には、Europol(欧州刑事警察機構)が設置された。そして、同年、EU加盟国内の移動が自由となる。その前提として1994年にEEA(欧州経済領域)とEFTA(欧州自由貿易連合)でEU非加盟国のノルウェーとアイルランドは欧州単一市場に加わり、また、スイスは参加を拒否、リヒテンシュタインは5月に加盟した。そして1995年、ベルギー、フランス、ドイツ、ルクセンブルク、オランダ、ポルトガル、スペインの間で結ばれたシェンゲン協定により、人の移動自由化となったのだ。また、1995年には冷戦期に中立の立場をとっていた、オーストリア、フィンランド、スウェーデンの加盟の交渉が終結しEUに加盟が認められたため、加盟条約が調印される。1997年には、EUとNATOの役割を明確にすることを条約に取り入れることを宣言し、アムステルダム条約が加盟国の外相により調印され、1999年に発効した。