小岩小学校日曜参観授業事件

出典: Jinkawiki

2009年1月29日 (木) 23:49 の版; 最新版を表示
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1.事実の概要

 原告Xらは4人は、K小学校の第四学年および第六学年であった。日曜日の教会学校に出席し、学校の授業参観日に出席しなかったので欠席と指導要領に記載された。原告両親は、時善意教会学校の宗教行事の参加させるため出席できない旨を各担任に通知すると共に、①公立学校は日曜日に授業すべきではない、②日曜日に授業を行う場合はあらかじめ父母、子どもに任意であることを伝え、出欠をとるべきではない、③日曜日授業は、教育法が保障している宗教教育の自由をおかすものである、との要請を出していた。しかし授業は行われ、欠席とされたので、欠席の取り消しと損害賠償を校長、東京都に請求した。

2.判決の要旨

 ①原告は欠席にされて利益を失ったことがない。よって抗告訴訟としての訴えの利益がない。    ②日曜日を父母の授業参観日とし、月曜を休業日をしたことは、学校法規則47条の「特別の必要がある場合」にあたり違法ではない。    ③校長は、出席簿を作り(学校法規12条の4)、常に児童の出席状況を明らかにする義務があるから、欠席の記載に違法はない。    ④授業日の振り替えが公教育上の特別の必要性の範囲内にあれば、教会学校の集会・信仰活動を制約しても、違憲・違法ではない。本件の授業参観日の設定および午前中に授業することは、授業参観日の目的に照らし適切である。原告らは、この程度の不利益な制約を受任すべきである。    ⑤教育基本法の実施に優先して尊重されるべきとの根拠にはならない。むしろ教会学校への出席を公教育より優先させると、宗教的中立性に抵触することになりかねない。

3.解説

 (Ⅰ)「抗告訴訟ができるか」⇒失った利益を取り返したい時に裁判を求めることができる-原告適格がある-が、原告らは、欠席と記載されたことによって法律上不利益を受けたと証明しなかった。利益を失ってないのだから、利益を取り返す裁判ができるはずがない。抗告訴訟を求める原告適格-原告になる資格-がない(行政事件訴訟法3、9条)から、却下-門前払い-されたのは当然である。

 (Ⅱ)「教会学校への出席を認めることは、宗教教育の中立性に違反しないか」⇒教育基本法は「宗教に関する寛容および宗教の社会生活における地位は、教育上これを尊重しなければならない」(同法9条)とするが、同法9条2項にて「特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動」を禁止するという好意的中立主義をとる。教会学校への出席をフリーで認めると-出席にする-と、明らかに特定宗教への援助になり、中立主義に反する。

 (Ⅲ)「欠席処置は法的にどんな意味を持つか」⇒校長は、常に児童等の出席状況を明らかにしなければならない(学教法施例19条)。そのために出席簿を作成しなければならない(学教法規12条の4)。また児童等の学習および健康の状況を記録した指導要録を作成しなければならない(同施規12条の3)。A区教育委員会が東京都の基準に従って、指導要領に出席の記入要領を定めており、校長は、それに従って欠席記載をしたにすぎないから、違法性はない。

考察

 授業参観を行うか否か、その時期や内容などを細かく定めたような法規定は学校法、同法施行令、同法施行規則にはない。従って法理論上にはないことになる。そうなると授業参観は教育活動だから教育理論によって前述の内容等を判断し、決定せざるを得ない。


                        参考引用:『教育判例読本』教育開発研究所                              http://www.christiantoday.co.jp/main/column-news-142.html


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