日本国憲法第9条

出典: Jinkawiki

2009年1月29日 (木) 23:49 の版; 最新版を表示
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日本国憲法 第9条(にっぽんこくけんぽうだい9じょう)は、日本国憲法の条文の1つであり、戦争の放棄」「戦力の不保持」「交戦権の否認」の3つの要素から構成される。


目次

条文

1.日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2.前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。


英文

1.Aspiring sincerely to an international peace based on justice and order, the Japanese people forever renounce war as a sovereign right of the nation and the threat or use of force as means of settling international disputes.

2.In order to accomplish the aim of the proceeding paragraph, land, sea, and air forces, as well as other war potential, will never be maintained. The right of belligerency of the state will not be recognized.


9条の解釈について

(1)「前項の目的を達するため」の意味(1項と2項との関係) 「前項の目的を達するため」の意味についても、1項の「国際紛争を解決する手段」の意味との関連で、見解は分かれる。まず、同項において自衛戦争を含むすべての戦争が放棄されたとの立場からは、そのような「前項の目的を達するため」の裏付けとして、2項において戦力の全面不保持が定められたとする。次に、1項で放棄されたのは侵略戦争のみであるとの立場からは、

①「前項の目的」とは「国際紛争を解決する手段」としての戦争放棄を意味するのであって、自衛のための戦力の保持は認められるとする見解、②「前項の目的」とは「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し」 を意味するのであって、このような戦争放棄の動機を受け、2項において一切の戦力の不保持を定めたとする見解が主張される。さらに、1項においてすべての戦争は禁止されるが、武力による威嚇及び武力の行使は「国際紛争を解決する手段」であるものが放棄されるとの立場からは、そのような意味での「前項の目的を達するため」、2 項において「戦争」を遂行する手段としての戦力の全面不保持が定められているとする。学説においては、「前項の目的」とは、「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し」を意味するとの見解が多数説となっている。

 「前項の目的を達するため」の意味について、政府は、次のような見解を 述べている(政府答弁書昭55.12.5)。  憲法第9 条第2 項の「前項の目的を達するため」という言葉は、同条第1 項全体の趣旨、すなわち、同項では国際紛争を解決する手段としての戦争、武力による威嚇、武力の行使を放棄しているが、自衛権は否定されておらず、自衛のための必要最小限度の武力の行使は認められているということを受けていると解している。したがって、同条第2項は「戦力」の保持を禁止しているが、このことは、自衛のための必要最小限度の実力を保持することまで禁止する趣旨のものではなく、これを超える実力を保持することを禁止する趣旨のものであると解している。


(2)「戦力」の意味(自衛隊の合憲性) 「戦力」の意味についても、自衛権に関する考え方の違い等を前提として、見解が分かれる。


第一に、戦争に役立つ可能性のある一切の潜在的能力を「戦力」とする説で、この説では、軍事力のみならず、軍需生産、航空機、港湾施設等も「戦力」に含まれることとなる。


第二に、外敵の攻撃に対して国土を防衛するという目的にふさわしい内容を有する軍隊及び有事の際にこれに転化し得る程度の実力部隊を「戦力」とする説で、今日の多数説であるとされる。この説では、軍隊と警察力との違いが問題となるが、両者の相違点としては、①その目的が、軍隊は外敵に対して国土を防衛することにあるのに対し、警察力は国内の治安の維持及び確保にあること、②その実力の内容(人員、編成方法、装備、教育・訓練、予算等)が、それぞれの目的にふさわしいものであることが挙げられいる。そして、このような趣旨からすれば、現在の自衛隊は、「戦力」に該当し、違憲であると解される。


第三に、近代戦争遂行に役立つ程度の装備及び編成を備えたものを「戦力」とする説で、政府統一見解として新聞報道されたものである。

1.憲法第9 条第2 項は、侵略の目的たると自衛の目的たるとを問わず「戦力」の保持を禁止している。

2.右にいう「戦力」とは、近代戦争遂行に役立つ程度の装備、編成を備えるものをいう。

3.「戦力」の基準は、その国のおかれた時間的、空間的環境で具体的に判断せねばならない。

4.「陸海空軍」とは、戦争目的のために装備編成された組織体をいい、「その他の戦力」とは、本来は戦争目的を有せずとも実質的にこれに役立ち得る実力を備えたものをいう。

5.「戦力」とは、人的、物的に組織された総合力である。従って単なる兵器そのものは戦力の構成要素ではあるが、戦力そのものではない。兵器製造工場のごときも無論同様である。

6.憲法第9 条第2 項にいう「保持」とは、いうまでもなくわが国が保持の主体たることを示す。米国駐留軍は、わが国を守るために米国の保持する軍隊であるから憲法第9条の関するところではない。

7.「戦力」に至らざる程度の実力を保持し、これを直接侵略防衛の用に供することは違憲ではない。このことは有事の際、国警の部隊が防衛にあたるのと理論上同一である。

8.保安隊および警察隊は戦力ではない。これらは保安庁法第4 条に明らかなごとく、「わが国の平和と秩序を維持し人命および財産を保護するため、特別の必要がある場合において行動する部隊」であり、その本質は警察上の組織である。従って戦争を目的として組織されたものではないから、軍隊ではないことは明らかである。また客観的にこれを見ても保安隊等の装備編成は決して近代戦を有効に遂行し得る程度のものではないから、憲法の「戦力」には該当しない。


第四に、自衛のために必要な最小限度の実力を超えるものを「戦力」とする説で、現在の政府統一見解である(政府答弁書昭55.12.5)。何が自衛のための必要最小限の実力に当たるかは、「具体的にはそのときどきの国際情勢で決めていくほかはない」、あるいは、「国内、国情あるいは世界情勢、科学技術の進歩等によって決めるべき65」として、相対的なものであるとされる。我が国が自衛のための必要最小限度の実力を保持することは、憲法第9条の禁止するところではない。自衛隊は、我が国を防衛するための必要最小限度の実力組織であるから憲法に違反するものではないことはいうまでもない。


最高裁判例

自衛隊の憲法9条に対する合憲性について直接判断した事件は未だ存在しない。

時間的適用範囲 昭和26年11月28日 最高裁判所大法廷判決 遡及効の否定 憲法9条の規定は将来に対する宣言であり、制定前の戦時中の収賄行為について戦時刑事特別法を適用するかの判断には関係しない。

砂川事件 昭和34年12月16日 最高裁判所大法廷判決  憲法9条は、わが国が主権国として持つ固有の自衛権は何ら否定していない 憲法9条は、わが国がその平和と安全を維持するために他国に安全保障を求めることを何ら否定していない 憲法9条2項にいう「戦力」とは、わが国がその主体となってこれに指揮権,管理権を行使する戦力をいう 外国の軍隊は憲法9条2項にいう「戦力」に該当しない 旧日米安全保障条約は,憲法9条に一見極めて明白に違反するということはできない

百里基地訴訟 平成元年6月20日 最高裁判所第三小法廷判決 憲法9条は私法上の行為に直接適用されるものではない 国が行政の主体としてでなく私人との間で個々的に締結する私法上の契約は、当該契約がその成立の経緯及び内容において実質的にみて公権力の行使の発動たる行為と何ら変わらないといえるような特段の事情のない限り、憲法9条の直接適用を受けない

沖縄代理署名訴訟 平成8年8月28日 最高裁判所大法廷判決 現行日米安全保障条約は、憲法9条に一見極めて明白に違反するということはできない 駐留軍用地特措法は憲法9条に違反しない。


参考文献

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%9B%BD%E6%86%B2%E6%B3%95%E7%AC%AC9%E6%9D%A1 デイリー六法/三省堂

http://seiji.yahoo.co.jp/guide/yougo/seiji/56.html


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