電気自動車
出典: Jinkawiki
電気自動車(EV【electric vehicle】)は簡単に言えば電気で走る車。電池とモーターと車体があれば走り出した模型自動車のようなもの。原理はそれとまったく同じ。電池は充電することができる。だから二次電池と呼ばれる。使いっきりの電池は一次電池と呼ばれる。電気自動車はシンプルな乗り物なので部品も少ない。だからコストも安い。車体も軽くてすむ。シンプル&ライト。これが電気自動車の特徴である。
電気自動車は電池の改良とともに進化してきた。鉛からニッケル水素…そしてリチウム電池へ。電気の容量つまり密度を鉛を1とするとニッケル水素は約2倍、リチウム電池は約3倍。つまり鉛電池で100km走る電気自動車は同じ重さのニッケル水素電池なら約200km、リチウムなら約300km走るという単純計算になる。
ガソリン車やディーゼル車を動かしているのはエンジン。別名、内燃機関。この動力源は筒状シリンダーの中にガソリン等の石油燃料を噴射して、それをピストンで圧縮して燃焼させ、その爆発力でピストンを上下運動させる。内燃機関のシリンダー内で燃焼したガソリンなど石油燃料の爆発エネルギーは①ピストン往復→②クランク回転運動→③クラッチ→④ギア・シフト→⑤プロペラシャフト→⑥デフ⑦→デフシャフト→車輪…でようやく発車オーライとなる。各々の段階で摩擦や抵抗でエネルギーを食い、さらにコストや荷重が負荷となる。
内燃機関とは読んで字のごとし。「内部」で「燃焼」させる「動力機関」である。それは金属製だ。シリンダー内部でガソリンを爆発燃焼させる。とうぜん高温になる。そのまま燃焼を続けると金属が高温で溶けてしまう。だから内燃機関には冷却装置が不可欠である。自動車も空冷エンジンか水冷エンジンの2つで動く。冷却するということは燃焼熱を奪うこと。つまり大切な石油エネルギーが、回転エネルギー以外に、排熱エネルギーで消えていくことを意味する。例えばガソリンを内燃機関のエンジンで燃やすと、ガソリンの全エネルギーの約1割しか回転運動には伝わらないという。残り9割は廃熱として酸化チッ素や硫黄酸化物など有毒汚染ガスとともに空中に消えていく。
電気自動車ではガソリン車では不可欠な複雑な駆動システムが一切不要となる。つまりそれだけ部品が少なくてすむ。同じサイズのガソリン車と電気自動車を比べると、電気自動車は約6割の部品ですむという。電気自動車はその分車体もコストも軽くなる。
「地球上で発生するCO2の20%はクルマから。EV化で約7%に減らせる」といわれている。EVのエネルギー消費はガソリン車の3分の1だからだ。つまりCO2全発生量の約14%をEV化で減らせる。すべてのEVに、自然エネルギーで充電すると20%まるごとCO2発生が消えてなくなる。
EVはガソリン自動車が開発されるより12年前の1873年にイギリスのダビットソンによって実用車が製造された。その後、19世紀末から20世紀初頭にかけて欧米ではEVの最盛期を迎え、日本でも昭和初期にEVの開発・販売が行われた。その理由はエンジン車に比べて構造が簡単で、モータとバッテリさえあれば比較的容易に製造ができたからである。また、当時のエンジン車は低性能で品質にも問題点があり、初期段階においてEVが発展した。その後、EVはエンジン車と競い、その性能に負けて衰退した。 しかし、1970~1990年代の自動車の普及に伴い、大気汚染による環境問題ならびに地球温暖化が急激にクローズアップされ、これらの問題の同時解決が要求された。それにはEVは最適ではあるが、普及には解決すべき課題が多く、特に1充電で可能な航続距離が短いという致命的な欠陥を有していた。
ルシオール
国立環境研究所が開発したEV。車体の全長は3.30m。幅は1.2m。乗員2名、または大人1名、子ども2名。 ルシオールには普通充電、急速充電、太陽光充電の3パターンがある。 普通充電:約5時間で満電となる。ルシオールで帰宅して、車庫のコンセントに差し込んでおけば、翌朝には充電が完了している。1回あたりの充電費用は昼間で約250円。夜間なら約100円となる。これは夜間電力は格安となっているからである。これらは軽自動車のガソリン代の3分の1~6分の1に相当する。 急速充電:「規格で定められた急速充電装置なら約15分で満充電となります」(解説) 太陽光充電:ルシオールは屋根全面と後方のリヤスポイラー(安定板)には太陽電池(多結晶型)が貼られている。このソーラー発電により、年間に約800kmを走行させるエネルギーを太陽から得ることができる。最新の超効率の太陽電池を車体に貼ると、年間1万km近い発電走行も夢ではない、という指摘もある。