ウェクスラー式知能検査(WAIS)
出典: Jinkawiki
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ウェクスラー式知能検査(うぇくすらーしきちのうけんさ)とは、デイヴィッド・ウェクスラー(David Wechsler 1896年1月12日 - 1981年5月2日)によって開発された知能検査であり、5歳以上16歳未満を対象とした「WISC」、16歳以上89歳以下を対象とした「WAIS」、3歳10か月から7歳1か月までを対象とした「WPPSI」の三つがある。現在日本では、どの知能検査も現在では第3版、Ⅲ(スリー)が現場で用いられている。
ウェクスラー式知能検査では、アルフレッド・ビネーと違い、知能を単一の能力とはとらえず、目的を持って行動し、合理的に考え、効率的に環境と接する個人の総体的能力として定義している。
ここでは、成人を対象とした「WAISⅢ」について述べる。
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概要
ウェクスラー式知能検査の特徴は動作性IQ,言語性IQ、全検査IQの三つが測定できること。「知能は独立した複数の能力からなる」ウェクスラーの知能観に基づいた、四つの群指数からなることで、以下
・ 言語理解(VC)
言語的な情報を状況に合わせて応用する力
・ 知覚統合(PO)
視覚的な刺激を関連付けまとめ上げる能力
・ 注意記憶(ED)
注意を持続させ聴覚的な情報を記憶する力
・ 処理速度(PS)
視覚的な情報を数多く正確に処理する能力
の4つを基盤とし、全検査IQ、言語性IQ、動作性IQ、群指数、下位項目から構成される。また、IQを測定するだけでなく、群指数を比較して自身能力の個人内差を測定したり、言語性IQと動作性IQを比較して、学習障害や鬱傾向を測定できることも特徴である。算出されるIQは100を平均とした偏差値であり、自身が同年齢の人と比べてどの程度の知能なのかが分かるようになっている。
構成
WAISⅢでは先に述べた、言語理解、知覚統合、注意記憶、処理速度を測定するために下位項目を設けており、以下の14からなる。
言語性検査
- 知識
- 文化によって獲得した一般知識の程度を問う質問。「日本の首都はどこですか?」「鎌倉幕府を開いたのは誰ですか?」等の質問に回答する。
- 理解
- 抽象的な社会慣習、規則、経験を扱う能力を測定する質問。(例「一石二鳥という諺はどのような意味ですか?」)
- 算数
- 数学問題を暗算する集中力、理解力を測定する。単純な計算から、文章題のような問題も出題される。(例「ひと箱500円の商品を5つ買うと幾らになりますか?」等)
- 類似
- 抽象的な言語の理解力を測定する質問。「フォークとスプーンはどのようなところが似ていますか?」といった類似点を答える。
- 単語
- 単語の意味を言語で説明できるかを問う。学習や理解の程度、および語彙の言語表現力を測定する。(例「りんごとは何ですか?」「輪廻という言葉を説明してください」等)
- 数唱
- 注意・集中を図る質問。ランダムな数列を読み上げ、順唱例「1-2-3」、逆唱例「3-2-1」で回答する。
- 語音整列
- 注意と作動記憶を測定する。読み上げられる数字とかなの組み合わせを聞き、数字を昇順に、かなを、五音表の順に並べ替えて解答する。
動作性検査
- 絵画完成
- 視覚的細部を素早く感知する能力を測定する。絵を提示し、そこに足りないものを答える。
- 符号
- 視覚的-運動、運動と思考のスピードを測定する。事前に提示された数字と記号の組み合わせ表から、数字に合った記号を選択する。
- 積木模様
- 空間認知、視覚的抽象処理、問題解決力を問う。出題された図形を積木で再現する。
- 行列推理
- 非言語的なもの、抽象的なものの解決力、帰納的推理力、空間推理能力を問う。出題されたものに合った選択肢を選ぶ形で回答する。
- 絵画配列
- 論理/逐次的推理力、社会的見識を測定する。
- 記号探し
- 視覚認知、処理速度を測定する。記号グループの中に見本刺激と同じ記号があるかどうかを判断する。
- 組合せ
- 視覚からの分析、統合、組み立ての能力を測定する。
また、補助問題として「符号補助問題1(対再生)(自由再生)」と「符号補助問題2(視写)」があり、一部の下位項目には、質問が同程度素交できないのかを測定するために「リバース問題」がある。
外部リンク
- 日本文化科学社 (WAISⅢの器具、マニュアルのページ)