ラムサール条約
出典: Jinkawiki
ラムサール条約(ラムサールじょうやく)は、イランのラムサールで、1971年に採択された国際条約「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」の通称。広く水辺の自然生態系を保全することを目的とする。登録対象となる区域は湿原のほか、湖・渓流・浅い海などの水域も含まれる。日本は1980年(昭和55)に加盟。
この条約は、各締約国がその領域内にある湿地を1ヶ所以上指定し、条約事務局に登録するとともに、湿地及びその動植物、特に水鳥の保全促進のために各締約国がとるべき措置等について規定している。2009年現在、締約国は159ヶ国。登録湿地数は1,843ヶ所、その合計面積は約180,028,774ha にも及ぶ。
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背景
水鳥の生息地として非常に重要な湿原や沼沢地、干潟などは、干拓や埋め立て等の開発の対象になりやすく、その破壊をくい止める必要性が認識されるようになってきた。湿地には国境をまたぐものもあり、また、水鳥の多くは国境に関係なく渡りをすることから、国際的な取組が求められた。そこで、特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地及びそこに生息・生育する動植物の保全を促し、湿地の適正な利用を進めることを目的として、1971年2月2日、イランのラムサ-ル(カスピ海沿岸の町)で開催された「湿地及び水鳥の保全のための国際会議」において、この条約が採択された(1975年12月21日発効)。
定義
ラムサール条約では、沼沢地、湿原、泥炭地または陸水域、および水深が6メートルを超えない海域などを、湿地として定義している。また、ラムサール条約における「湿地」の定義(第1条1)は以下に示されている。 「この条約の適用上、湿地とは、天然のものであるか人工のものであるか、永続的なものであるか一時的なものであるかを問わず、更には水が滞っているか流れているか、淡水であるか汽水であるか鹹水(かんすい)であるかを問わず、沼沢地、湿原、泥炭地又は水域をいい、低潮時における水深が6メートルを超えない海域を含む。」
締約国の権利・義務
ラムサール条約は、湿地の生態学上、動植物学上等の重要性を認識し、その保全を促進することを目的としている。主な規定は、以下に示されている。
「各締約国は自国の領域内にある国際的に重要な湿地を指定し、指定された湿地は国際的に重要な湿地の登録簿に掲載される」(第2条1、2)
「締約国は、条約湿地の保全及び湿地の適正な利用を促進するため、計画を作成し、実施すること」(第3条)
「締約国は、条約湿地であるかを問わず、領域内の湿地に自然保護区を設けることにより湿地及び水鳥の保全を促進し、自然保護区の監視を行うこと」(第4条1)
「湿地の研究、管理及び監視について能力を有する者の訓練を促進すること」(第4条5)
日本の登録湿地
日本が1980年(昭和55)に条約加入の際に「釧路湿原」を登録して以降、締約国会議が開催されるごとに、国内の湿地を条約湿地として指定し、登録湿地数を着実に伸ばしてきた。2008年現在で、日本の条約湿地数は37か所になっている。 日本の条約湿地面積は131,027haにも及ぶ。
主な登録湿地
釧路湿原/クッチャロ湖/ウトナイ湖/霧多布湿原/厚岸湖/別寒辺牛湿原/宮島沼/雨竜沼湿原/サロベツ原野/濤沸湖/野付半島/野付湾/風蓮湖/春国岱/阿寒湖(北海道)
伊豆沼/内沼/周辺水田/化女沼(宮城県)
谷津干潟(千葉県)
片野鴨池(石川県)
琵琶湖(滋賀県)
佐潟/瓢湖(新潟県)
漫湖/慶良間諸島海域/名蔵アンパル/久米島の渓流・湿地(沖縄県)
藤前干潟(愛知県)
三方五湖(福井県)
串本沿岸海域(和歌山県)
中海(鳥取・島根県)
宍道湖(島根県)
秋吉台地下水系(山口県)
くじゅう坊ガツル・タデ原湿原(大分県)
仏沼(青森県)
藺牟田池/蕪栗沼/屋久島永田浜(鹿児島県)
奥日光の湿原(栃木県)
尾瀬(福島・群馬・新潟県)
大山上池・下池(山形県)
参考文献・資料
環境省:報道発表資料「ラムサール条約湿地の新規登録について」http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=6518
外務省:「ラムサール条約」http://www.mofa.go.jp/MOFAJ/gaiko/kankyo/jyoyaku/rmsl.html
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