予防
出典: Jinkawiki
概要
学校では児童生徒の適応の障害をはじめとして、さまざまな問題が生じている。それらの問題は深刻で、解決に時間のかかるものが多い。そのため、教師の目は深刻な問題へ向けられがちとなり、必然的に治療的なカウンセリングが重視されるようになる。 しかし、気をつけなければならないことは、困難な状況は最初から困難だったとは限らないという点である。人間関係においても、最初はちょっとした行き違いだったことが次第に相互不信を生み、最終的にはぶつかり合いに至ることもある。問題が生じても大事に至らないうちに解決することができれば、事なきを得ることができる。 このように、問題が生じることをあらかじめ防止することが予防である。 予防の重要性は児童生徒の適応の障害に対しても同様である。問題が生じる前に予防することができれば、不登校やいじめなどの問題は減少する可能性が高い。
予防的な介入
カプラン(Caplan,G,1964)は、予防の水準を3つに分けた。 それは第1次予防、第2次予防、第3次予防である。予防のための働きかけを予防的な介入という。つぎに、それぞれの水準について見てゆく。 Ⅰ.第1次予防 第1次予防は、健康な児童生徒を健康なままに保つことを目的としている。対象は、心理的な問題の兆候がない児童生徒であり、方法としては児童生徒の学校での生活環境に働きかけて発達を促すか、あるいは対象となる児童生徒が将来出会うであろうさまざまな困難を乗り越えるための能力を高めるかのいずれかの方法をとることになる。 第1次予防を成功させるには ① 予防的な介入が個人よりも集団に対して行われること。 ② 集団に不適応の兆候が現れる前に介入すること。 ③ 集団内の児童生徒の心理的適応を強めるように意図されていること。 以上の3つの点が必要である。