クリストファー・ジョンソン・マッカンドレス(アレグザンダー・スーパートランプ)
出典: Jinkawiki
人物 (ニューヨーク・タイムズより)
荒野で死んだ徒歩旅行者、恐怖を記録 「アンカレッジ、九月十二日AP」
先週の土曜日、若い徒歩旅行者が怪我をして動きがとれなくなり、アラスカ内陸部の人里離れたテントの中で死亡しているのが発見された。まだ身元は確認されていない。しかし、テントにあった日記と二枚のメモからは、助かろうとする死にものぐるいの努力がしだいに虚しいものになっていく苦悩の顛末が読みとれる。 日記によれば、二十代後半か三十代はじめのアメリカ人と見られる男性は転倒して怪我をし、その後、三か月以上テントで動きがとれなくなっていたらしい。日記には、狩りをしたり、野草を食べて、生きのびようとしていた様子が記されていた。しかし、身体のほうは衰弱していった。二枚のメモのうち一枚は救助をもとめるもので、徒歩旅行者が周辺へ食べものを探しにいっている間に、テントのところへやってくるかもしれない相手にむかって書いたものである。二枚目のメモにあったのは、この世に別れを告げる言葉であった・・・。 今週、フェアバンクスの州検屍局で行われてた解剖によって、男性が七月下旬に餓死したらしいことが判明した。当局は所持品から彼のものと思われる名前を発見した。しかし、いまのところ身元確認までには至っていない。確認されるまで、当局からの名前の発表はない。
<ニューヨーク・タイムズ>一九九二年九月十三日
人物2
ワシントンDC郊外の高級住宅地で育ち、学業のほうも優秀であり、スポーツマンとしてもエリートだったようである。一九九〇年夏にエモリー大学を優等(ハーバード大学のロースクールに入れる程度)で卒業し、その直後に姿を消した。名前を変え、二万四千ドルの預金を全額慈善団体に寄付し、自分の車と持ちもののほとんどを放棄して、財布にあった現金もすべて燃やした。それから、まったくあたらしい人生、社会の末端に身を置き、新鮮なすばらしい経験をもとめて北アメリカを放浪するという生き方に身を投じた。アラスカで遺体が発見されるまで、家族は、彼がどこにいるのかも、どこへ行ったのかも、まるで知らなかった。