五大改革指令
出典: Jinkawiki
1945年10月4日、哲学者三木清の獄死を契機に、GHQは、治安維持法の廃止・政治犯釈放・天皇批判の自由などを内容とする自由制限撤廃指令(民主化指令)を東久邇宮稔彦内閣につきつけたが、同内閣は実行不能として総辞職した。 同年10月11日,首相就任挨拶のため司令部を訪ねた幣原喜重郎首相にGHQが指示し,実施を要求した五項目からなる指令のこと。この日,GHQは,ポツダム宣言に基づき,日本国民は今後「思想の自由,言論の自由及び宗教の自由を抑圧せんとするあらゆる形態の統制から解放されねばならない。」という見解を表明し,五大改革を指示した。その内容は,①婦人の解放、②労働組合の助長、③教育の自由主義化、④圧制的諸制度の撤廃、⑤経済の民主化の5項目である。この指令は戦後改革の出発点となり、これに基づいて婦人参政権の確立・労働組合法の制定・教育基本法と学校教育法の制定・財閥解体と農地改革などが着手され、“日本の非軍事化・民主”の政策が実行されていった。
内容
一 選挙権賦与による日本婦人の解放・・・・政治体の一員たることに依り,日本婦人は家庭の福祉に直接役立つが如き政府に関する新しき観念を齎すべし。
二 労働組合の結成奨励・・・・右は労働者を搾取と酷使より保護し,その生活水準を向上せしむるために有力なる発言を許容するが如き権威を労働組合に賦与せんが為なり。又現行行はれ居る幼年労働の弊害を矯正するに必要な措置を講ずべきこと。 三 より自由なる教育を行ふ為の諸学校の開設より自由なる教育を行ふ為の諸学校の開設・・・・国民が事実に基づく知識によりその将来の進歩を形作り,政府が国民の主人たるよりは寧ろ公僕たるが如き制度を理解することに依り利益を受くる為なり。
四 秘密検察及びその濫用に依り国民を不断の恐怖に曝し来りたるが如き諸制度の廃止・・・・即ち右に代り人民を圧制的専断的且不正なる手段より保護し得るが如き司法制度を確立すべきこと。
五 所得並びに生産及商工業の諸手段の所有の普遍的分配を齎すが如き方法の発達に依り,独占的産業支配が改善せらるるやう日本の経済機構を民主主義化すること。
参考 www2.ocn.ne.jp/~hiroseki/shiryou/godai.html
駿台日本史科編 『日本現代史徹底整理(戦後史)』 2007年