新自由主義3
出典: Jinkawiki
新自由主義とは市場原理主義に基づき、小さな政府(低負担、低福祉)を推進していくことである。いわゆる大きな政府、高福祉、高負担とは真逆の体制を理想としている。元々はニューリベラリズム(New Liberalism)が「新自由主義」と訳された。個人主義的で自由放任主義的な古典的自由主義に対して、社会的公正を重視して社会保障や公共事業など政府の介入を推進する諸思想諸政策で、「社会自由主義」などとも訳される。1980年代以降は、ネオリベラリズム(英: neoliberalism)が「新自由主義」と訳される場合が増加した。ネオリベラリズムは市場による自由競争や古典的自由主義を再評価し、市場機能を歪めることとなる政府による介入は、民間では適切に行えないものに極力限定すべきとする諸思想諸政策である。この政策を行った政治家として、アメリカのロナルド・レーガン、イギリスのマーガレット・サッチャー、日本では中曽根康弘がいる。最近では、郵政民営化を掲げた自由民主党の小泉純一郎氏が新自由主義に則った政策を実行した人として有名である。
また、新自由主義を主張した学者には有名なミルトン・フリードマン氏がいる。彼は著書『資本主義と自由』において、政府が行うべきでない14の政策を主張した。それが以下のものである。かつて自民党の小泉純一郎氏が行った、郵政民営化や道路公団民営化は13と14を行ったことになる。
1. 農産物の買い取り保障価格制度。
2. 輸入関税または輸出制限。
3. 商品やサービスの産出規制。
4. 物価や賃金に対する規制・統制。
5. 法定の最低賃金や上限価格の設定。
6. 産業や銀行に対する詳細な規制。
7. 通信や放送に関する規制。
8. 社会保障制度や福祉。
9. 事業・職業に対する免許制度。
10. 公営住宅および住宅建設の補助金制度。
11. 平時の徴兵制。
12. 国立公園。
13. 営利目的の郵便事業の禁止。
14. 国や自治体が保有・経営する有料道路。
近年は世界的に新自由主義に反対する動きが起きている。その一つとしてオキュパイ・ウォールストリート(ウォール街を占拠せよ)運動がある。これは「ウォール街を占拠せよ」を参照にして欲しい
議論
新自由主義においては個人の裁量、責任が大きくなる。自己責任の範疇が大きくなったことによって、メリットもあるが、デメリットも存在する。小泉純一郎氏の政権以降、日本国内での格差が広がったと言われて久しい。非正規雇用が増え、社会不安が蔓延したという批判も存在する。それと同時に、世界的に広がる新自由主義の動きが「グローバリゼーション」となって浸透している。肯定的な意見としては、人材の移動が活発化する、分業化がより進み、効率的かつ低コストで製品の生産ができるようになる等がある。否定的な意見は、競争の激化により、負けた側は失業者が増え、福祉政策も充実していないので、セーフティネットを確保できないというものである。新自由主義に批判的な学者としてノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・E・スティグリッツ氏がいる。彼は著書『世界を不幸にしたグローバリズムの正体』において、IMFの支援方法が新自由主義の元で市場経済を自由化させていくことを重視しすぎるあまり、倒産、民事裁判による債権実現、市場取引のルールなど、その前提たる社会的基盤を軽視しがちであり、その結果、経済的混乱を招き、かえって経済を停滞させる場合が多いことを厳しく批判している。
参考文献
佐藤優『テロリズムの罠 左巻 新自由主義社会の行方』角川学芸出版(2009) ジョセフ・E・スティグリッツ『世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す』徳間書店(2006) ミルトン・フリードマン『資本主義と自由』日経BP社(2008)
HN:@yuya0401