環境問題

出典: Jinkawiki

2012年8月3日 (金) 17:18 の版; 最新版を表示
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環境問題とは

人類の活動に由来する周囲の環境の変化により発生した問題の総称であり、これは、地球のほかにも宇宙まで及んでいる問題のこと。自然が持つ自己修復性を超えて負担をかけたり、自己修復性が損なわれたりすると、回復が遅れ、結果的に人類をはじめとした生物に悪影響を及ぼすことになる。上に挙げた例で言えば、植物が過剰に伐採されたことで雨で土が侵食されて貧弱な土壌となり植物が育ちにくくなり、その植物を糧にして生活している人間やそこに棲む動物が被害を受けたり、大量に物を燃やすことで灰や煙が地上にも広がって、それを人間や動物が吸い込んで健康被害を受けたりすること。人類は誕生当初より、生活のなかで自然環境に負担をかけていたと考えられるが、それは自己修復性を超えた過剰なものではなかった。例えば、狩猟採集生活は考古学の資料などから数万年の間継続されてきたと推定され、この事実が負担の小ささを証明している。これは、そもそも当時は(現在も残る狩猟採集民族の場合も同様だが)人口が少なく生活単位も小さいため、短期間に大量に天然資源を利用したりすることが少なかったことが原因である。

しかし、人口が増えたり、コミュニティが密集してくると、しだいに悪影響が見られるようになってきた。異論もあるが、紀元前に存在した古代エジプト文明やインダス文明などは、森林の過伐採による砂漠化が文明衰退の原因とも指摘されている。そして、18~19世紀にヨーロッパを中心に産業革命・工業化が広まった頃からさまざまな悪影響が顕在化し始め、産業革命・工業化の波とともに世界中に波及していった。

問題への取り組み

環境問題への対策を考えるに当たって重要な考え方がある。持続可能性は、ある物や活動が、人間活動を維持し持続させていけるのかどうかという可能性について指す言葉である。持続可能な開発(持続可能な発展、持続可能な社会)は持続可能性を最大限尊重した開発を進めていくことである。持続可能性を保持しながら資源やエネルギーなどを利用していく社会を循環型社会といい、省資源、省エネルギー、ゼロ・エミッション、3Rなどさまざまな形がある。 環境問題は、産業活動も主原因であることに間違いはないが、個人などの民生活動がもう1つの主原因でもある。産業活動については、その組織的な特徴を生かして一律な対策をとり、罰則などを定めるのも容易である。しかし、個人については、多種多様な考え方や生活様式(ライフスタイル)があるため一律な対策をとるのが難しく、罰則を定めるのも容易ではないため、一人一人の考え方や行動に委ねられている部分が大きい。そのため、民間では環境保護活動の影響力が大きい。

営利を目的としない市民活動をNPOとして優遇する体制が整備されてきている。カーシェアリングやレジ袋の使用自粛など草の根レベルでの環境に対する取り組み(草の根民活)も盛んになってきている。

市民の環境意識の高まりを受けて、環境モニタリングなどの監視制度も生まれた。交通分野でのモビリティ・マネジメントのように、自発的な環境対策を推進しようとする動きもある。

非政府組織という形での市民活動のほか、国家的な取り組み(排出規制、環境基準、研究)や、企業による取り組み(環境技術の開発、ゼロ・エミッションの追求、リサイクルなど)といった様々な形で、環境対策や環境保護運動は推進されている。

環境保全・環境負荷低減全般に関する活動などについては、グリーン購入やそれを補助する環境ラベリング制度、3Rなどがあり、制度化されたり行政や民間による支援が行われたりしている。

制度化に関しては、この分野全般を対象とする環境法という分野があり、環境基準や環境税などの手法がある。環境コンサルタントや環境カウンセラーなどは、環境対策全般について扱う専門家であるが、制度化などには国によってばらつきがある。

企業や団体などに関しては、環境会計の運用や環境マネジメントシステムの導入を行うことが、総合的な対策につながる。環境問題への対策を好機と捉える企業・団体も多く、「環境先進国」を中心に環境ビジネスや環境市場といったものが生まれつつある。

草の根活動、善意による地道な活動、危機意識による活動などが拡大してきている一方、環境問題の解決のためには、貧困や人口問題への対策、利益主義や自己の繁栄のみを追求する考えなどの思想の転換といった、大規模な対策が必要であるという指摘もある。


参考 ブリタニカ国際大百科事典


  人間科学大事典

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