アイスランド2
出典: Jinkawiki
アイスランド 国土は、北海道と四国を合わせた程度。人口は30万人ほど。 特に80年代から、環境先進国などと言われ、水力発電や地熱発電が発達、石油の消費0を目指しているという理想・進歩主義。
金融システムはキャッシュレスに一本化され、国民には選択肢はない。
1859年以降、独自の軍事力を保持していない国。日本のように徴兵のない「防衛庁」であり、国連での平和維持活動などに参加している。 NATOに属し、基地提供と財政支出をおこなっている。
英経済誌エコノミストの調査部門、エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)が140カ国の政情や治安状況を分析し、ランク付けした「世界平和度指数」2008年度版が5月20日公表した結果、1位はアイスランドであった。ちなみに日本は5位。
アイスランド破綻の経緯
9月11日、サブプライムローン問題に端緒にした世界景気の減速で国際商品の下落基調が明確になった。
この影響は欧州に飛び火し、ベルギー、オランダ、イギリス、ドイツ、アイスランドは、5カ国3行の銀行の破綻を回避するために国有化した。
折しも米証券大手リーマン・ブラザーズが破綻し、世界は同時株安の局面を迎えていた。
国際商品相場は、10月10日でも、さらに資金流失が続いて止る気配はなく、さらに10月16日では、ニューヨークの原油相場が大幅に下落したことで、原油、石油製品、天然ガスなどの資源関連での国際商品相場に影響した。
欧州の中でもアイスランドは深刻であり、10月6日には、金融危機を回避するため同国のすべての金融機関を事実上国有化する法案を可決したほどだ。『ハーデ首相は同日夜のテレビ演説で「最悪の場合、国家破綻(はたん)の恐れもある」と国民に理解を求めた』という。
金融システムがキャッシュレスに一本化され、現金のない社会であることから、このような急激な金融危機で、国民はタンス預金もなく、全額預金保護がされなければ、途方に暮れることとなってしまう。
カウプシング銀行の債務不履行
10月20日(ブルームバーグ):アイスランド最大の商業銀行で現在、政府管理下にあるカウプシング銀行が2006年10月に発行した円建て外債(サムライ債)500億円が20日に利払い日を迎えたが、20日午前時点で、この利払いが実施されておらず、デフォルト(債務不履行)状態に陥った。今年9月15日に連邦破産法11条を申請して破たんした米国大手証券会社のリーマン・ブラザーズのサムライ債に続く事例。
サムライ債は、アイスランド政府や銀行などが日本国内で募集し、円建てで発行する。 アイスランド国債という信用から、日本の個人や公的機関などが買う。 それをアイスランドは、国内の円建てローンなどに運用する。 アイスランド国民は金利の高い自国の通貨よりも、金利の安い円建てで利用した。 しかし、暴落したアイスランドクローナと、ドルが弱くなっての円高という為替の差で、利払いが困難となったのである。
円建ての人気は金利の低さにあった。金利の高い同国通貨クローナより割安である、という判断だ。 金利の上昇は過熱した経済によるインフレを抑えるため。ここにしてもバブルであったのだ。 それが通貨の暴落で、家や車のローンの毎月の返済額が急に倍となったのである。 しかし、これでは円キャリートレードのようではないか。金利の低い円で借りて運用するのと同じだ。ローンの返済に、変動のある外貨を利用するなど、あまりに投機的であったということだ。 特に最近のユーロ/円では変動が大きすぎた。このリスクがあったことに気付いてないのだ。
1年前は、1クローナ=2円だった為替レートが、2008年6月25日では、1.27円、10月8日、1クローナ=約0.79円。 給料が自国通貨のクローナ単位でもらうのに、ローンの支払いは為替の差2.53倍ある円で払わなければいけないのである。
どうしてこうなってしまうのかというと、原因は通貨の格付けにあるのだ。 アイスランド通貨の格付けは、去年までAAAであり、今年になってAA2、などとつい最近まで信じられていた。 このような格付けのいい加減さが、アイスランド国民の判断を狂わせた事は間違いのない事実なのである。
格付けのいい加減さはこれだけではない。 ニュース記事では『同行(カウプシング銀行)の債務については9月末から10月10日まで、ムーディーズがA1からCaa2と13段階、フィッチ・レーティングスもBBBからCCへと一気に投機的水準まで引き下げた。格付投資情報センター(R&I)も「A-」から「CC」に引き下げた。フィッチの格付け定義では、CCは「発行体と債務に関して、一部債務不履行の懸念が見込まれる」との認識を示す。』とのこと。
このように2週間もたたないうちに格付けが13段階と、まるで株価が暴落するような異常な評価なのである。こんないい加減な世界的経済の権威こそ、アイスランドの金融を間違った判断に向かわせた1つの要因なのである。
金融危機と通貨下落の理由
アメリカや日本と同じく、不動産市場などに流入した資金でのバブルが原因である。多くがローンを利用したが、インフレ抑制で金利が上昇した。これで金利の安い円建てを利用したとは、まるでアメリカで起きた、ローンを借り換えて金利を低く押えようとしているのと同じだ。
そしてアメリカでは住宅価格が下落し、大手証券会社や銀行などが破綻した。
アメリカ全体の経済力から見れば、アイスランド通貨下落や金融破綻は時間の問題だったのかもしれない。
特にアイスランドは、地熱発電や水素エネルギーなどの開発などに積極的な環境先進国であった。政府と金融が一体となってそのような政策を進めたことで、その国家資金も原油先物市場や資源商品市場などにつぎ込まれ、またその資金も大いに利用したに違いない。それが石油の依存度0を目指していたにしては、原油相場が大幅に下落したことで、将来の希望も悲観せざるをえないことになってしまった。
参考 http://www.canon-igs.org/column/network/20120515_1358.html