オランダのドラッグ政策3
出典: Jinkawiki
一般にオランダ人は、ソフト・ドラッグとハード・ドラッグを区別し、ソフト・ドラッグに対してはかなり寛容である。ハード・ドラッグとは、いわゆる阿片やヘロイン、コカインなどの習慣性を持つ麻薬を指し、これは世界的密輸組織との繋がりがあり、犯罪の大きな原因となっている。
ソフト・ドラッグとは、マリファナやハシーシュなどの習慣性を持たないものを指し、個人の使用に限って認められている。これらのドラッグはオランダでは酒やタバコといった嗜好品と同様のものと考えられている。しかも、どちらかといえばドラッグよりも喫煙の方が公害とされている。
また、オランダのコーヒーショップに行けば、これらのソフト・ドラッグは誰でも簡単に手に入れられ、吸うことも自由である。しかし、こういったコーヒーショップが、他のヨーロッパ諸国では禁止されているソフト・ドラッグの世界的な取引の拠点となりつつあるため、警察は取り締まりを強化している。さらにオランダは国家としても2011年、外国人に対するソフトドラッグ販売を禁止する決議を可決した。この決定に対して政府は特に最近になってソフトドラッグを求めて訪れる近隣諸国からの外国人観光客が増加し、またそれに伴い、特にコーヒーショップ内で発生する犯罪件数が上昇していることなどから、犯罪防止のための対策だと説明している。しかし、オランダ野党ではソフトドラッグ販売が制限されることにより、違法な麻薬取引の件数がかえって上昇するのではないかという危惧を抱いているという。
ハード・ドラッグに関しては一般の目も厳しく、大規模な国際協力体制のもとに港湾や空港での水際作戦を展開し、それなりの成果を挙げるようになってきているが、これにより取り締まられるハード・ドラッグは、まだまだ氷山の一角でしかない。
参考:『読んで旅する世界の歴史と文化 オランダ・ベルギー』栗原福也/新潮社(1995)