南南問題

出典: Jinkawiki

2008年6月12日 (木) 15:32 の版; 最新版を表示
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1、南南問題とは

 1970年代以降に発展途上国の間で、中進国(新興工業諸国 NICS)と最貧国(MSAC)、産油国と非産油国との間に格差が拡大した。また、工業化と輸出産業を中心に高い経済成長率を達成している諸国NIES(新興工業経済地域)などの国々や資源を有効に活用している国々と、発展がまだ見られない国々との間の経済格差が広がっている。これが「南南問題」である。  資源問題がクローズアップされた時期に、産油国は資源ナショナリズムの高揚によって先進国から有利な条件を勝ち取り、国民経済の発展条件を大幅に改善できた。だが、非産油発展途上国は石油価格の高騰によって打撃を受け、“南”の内部で資源国と非資源国の利害が対立している。このように,“南”の分化現象は利害関係の多様化を生み,連帯と結束を多様化し,途上国間の調整と統合を難しいものにしている。


2、歴史と時代的背景

1960年         石油輸出国機構成立

1962年         国際連合において天然資源に対する恒久主権の権利の宣言

1970年代以降     資源ナショナリズムの高揚

1973年         第4次中東戦争

             オイルショック

 石油輸出国機構(OPEC)による原油価格調整が有効化。第4次中東戦争に際し、アラブ石油輸出国機構(OAPEC)が石油の減産・禁輸を行ったのに並行して、OPECは原油価格を一挙に4倍に引き上げ、世界各国に大打撃を与えた。これにより産油国の国際的地位は上昇し、多くの資源保有国は連携し、各種資源(銅・ボーキサイト・鉄・天然ゴム等々)の囲い込みを始めた。その一方、資源に恵まれない国、技術的に資源採掘が難しい国ではこうした恩恵にあずかれないという事態に陥った。

 1980年代は資源を持つ国、持たざる国の格差という問題からNIESなど、人件費の安さと工業技術力の発展をもとに経済成長した国としなかった国との格差という問題に観点が移ってきた。これは南北問題の対策として先進国が行なって来た開発途上国に対する支援が、一応の成果として国際経済に反映した結果とも言えるが、その一方で南南問題はより深刻化していった。特にサハラ砂漠より南のアフリカ地方、東南アジアの一部においては政情不安も重なり、経済的自立が困難な国がある(後発開発途上国)。またオセアニアや西インド諸島の小さな島国においてはそもそも人的資源にも乏しく、工業発展用のインフラすら未整備という実情がある。ラテンアメリカ諸国には経済発展はとげたものの、後の国内政治が不安定で経済的にとどまっている状態の国もある。




[引用・参考文献] 川田 侃『南北問題』1977,東京大学出版会

斎藤優編『南北問題』1982,有斐閣

辻村英之『コーヒーと南北問題』2004,日本経済評論社

http://www.sqr.or.jp/usr/akito-y/gendai/88-tojyoukoku.html

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E5%8D%97%E5%95%8F%E9%A1%8C


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