オンブズマン制度4
出典: Jinkawiki
目次 |
概要
オンブズマン制度とは、市民が行政サービスにおいて受けた不利益が、窓口相談などで何ら解決できなかった際に、公正中立な立場であるオンブズマンと呼ばれる人物が苦情を処理することで、最終的な苦情対応機関として機能する制度である。 オンブズマン(ombudsman)は、スウェーデン語で「権限を与えられた代理人」を意味し、行政機関が行うサービスを公正、公平な立場で調査し、必要であれば改善措置を求める権限を与えられた立場の人達を指す。
起源
現在、世界に普及しているオンブズマン制度の原型は1809年のスウェーデンで生まれた。 スウェーデンの議会が行政監視を監視するための代理人「国会オンブズマン」となる人物を任命し、強力な行政調査権と公務員訴追権を与えて、公務サービスの執行状況を監視させたものであり、その職は憲法によって保障されていた。
各国への普及
1955年にデンマークで導入されて以降、北欧諸国に普及していった。1962年にニュージーランドが「議会コミッショナー法」として「議会型オンブズマン」を創設した。これをモデルとして、イギリス、カナダ、アメリカ、などの諸外国にも急速に広がった。 日本での導入は比較的新しく、1961年から総務省が開始した行政相談委員制度が国のオンブズマン制度に位置付けられており、1990年に中野区と川崎市に設置されて以降、地方自治体で本格的に導入されていった。
制度の類型
日本や諸外国における導入事例からオンブズマン制度を類型化すると、立法府に設置する議会型オンブズマンと、行政府に設置する行政型オンブズマンの2種類がある。諸外国では議会型が主流となっているが、日本の導入事例はすべて行政型である。また、諸外国では国規模に設置されるものと自治体規模で設置されるものが混在しているが、日本では自治体規模のみの設置となっている。そのほかにも職務や権限、人数や任期などの細部に相違点があるが、制度の一般的な定義は「市民の行政に対する苦情をオンブズマンが受け付け、中立的立場から原因を究明し、是正措置を講じることにより簡易的かつ迅速に問題を解決する制度」として共通している。
制度の今後
オンブズマン制度は、簡易的かつ迅速に公正中立の立場から不利益救済制度の欠陥を補うものとして有効な手段である。地方分権の流れの中で今後国から地方への権限委譲が進み、国の関与が廃止されていくと、自治体独自の判断が求められていく。結果として、その判断の妥当性が問われる場合も増えていく。こうした状況に備えるためにも行政救済機能、行政監視機能の充実が必要となる。そういった場合に既存制度の隙間をカバーするオンブズマン制度をいかに有効に機能させていくかが重要になっていく。