食糧問題

出典: Jinkawiki

2016年7月29日 (金) 19:46 の版; 最新版を表示
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目次

概要

 食糧問題は、人口に対する食糧の不足、人口の増加に食糧の供給が追い付かなくなることで発生する栄養失調の状態が長く続いてしまう飢餓問題や、経済大国で行われている食べ物の大量廃棄など、各国や各地域によって食糧の格差が問題になっていることを指す。世界で飢餓に苦しんでいる人々はWFP(World Food Programme)の発表によると約八億人と推定されている。これは9人に1人が飢餓に苦しんでいる。飢餓による死亡者は毎年1500万人であり、2秒に1人の割合で飢餓に苦しむ人の尊い命が消えていく。世界の人口はこれからも増加していき2045年には人口が90億人を超えると言われている。地球では最大で80億人まで養うことができるとされているため、このまま人口増加が進むことは飢餓人口を増加させることになる。命あるものにとって食べることは何よりもまず食べることをしなければならない。食べることをやめたら命は尽きる。世界には食べることを願っても食べられずに尽きていく命がたくさんある。当たり前のように食べ物を食べられる生活には本当に感謝しなければならない。

歴史

 人類の歴史が始まった時から人間は飢えと常に隣り合わせであった。古来、人間は朝から晩まで食料採取をして生活していた。もちろん食料が手に入らないという事態が発生する可能性も十分にあった。やがて人類は農耕を始める。それは自分自身の空腹を満たすためでもあり、社会全体の人々が生き抜いていくためには必要不可欠なことであった。その後、人々は家畜を飼い始めた。家畜は人々に乳や肉を提供してくれる。しかし、時代が進んでも周期的に飢饉が発生し人々に襲いかかることが幾度となくあり、そのたびに人口が激減した。日本でも農民が飢饉に苦しむということが多々あった。19世紀後半から始まった産業革命によって人類の生産力は急激に向上し、世界にはモノがたくさん溢れるようになった。この影響で物質的な不足が解消され食糧問題が解決されるかに見えたが、それとは逆に、地域によっては以前にも増して飢えが深刻化してしまった。産業革命によって国の経済力にさらなる格差が生まれてしまい、本来は豊かな食糧が経済力の弱い国では入手が困難になってしまった。

飢餓の種類

経済的飢餓

 台風や干ばつなどで畑や道路が破壊されたり、戦争で家が壊された人が路上生活を強いられ、町のいたるところが壊されたために食糧が調達することができない。このように「突発的で急激な一過性の経済的危機混乱」が原因で発生する飢餓のことを経済的飢餓という。このような経済的混乱が起こった場合には他国の緊急援助をしない限り飢えてしまう。しかし、緊急援助をすれば解決するといった単純な問題ではない。多くの場合、経済的飢餓は後になってから国際援助機関に報告される。内政が整っていない国では国内の状況を把握しきれないということがしばしばある。そのために報告が遅れるというケースも考えられる。また報告がされてから実際に必要な物資や人材が現地に到着するのに時間がかかってしまう。緊急援助のために必要な知識を十分に備えた専門家が少ないため対応が遅れてしまう。栄養不足が深刻になっている子どもの対応は慎重に行わなければならない。緊急援助は物資を届けるだけでなく、非常に細かな計画を練ったうえで実行しなければならない。

構造的飢餓

その国の全体的な経済発展の遅れによる生産能力の低さや、生活に必要な水道や道路、ガスなどの未整備や住民の極度の貧困などが原因で引き起こされる飢餓である。その国の支配構造がもたらす必然的な結果と言える。

原因

気候変動

発展途上国では農業で生計をたてている人が多く、地球環境が悪化してしまうと農業に大きな打撃を与えてしまう。地球温暖化による影響で日照りが続いたり、集中豪雨、異常気象が発生すると農作物が充分に育たなくなる可能性があり、国内での食料が不足してしまう。

先進国の課題

 地球温暖化の原因である二酸化炭素は、自動車の排気ガスやエアコンの使用、化石燃料などが温室効果を持ったガスを持ち、それらが地球全体の温度を引き上げている。これらの多くは先進国で発生しており、その被害を受けるのは発展途上国なのである。このことを今一度認知しなければならない。  現在の日本のように、食べたいものをいつでも入手することができる人は世界の中で2割程度だとされる。その2割の人たちが世界の穀物の半分を消費している。第二次世界大戦前と比べると日本の生活は大量の輸入によって成り立つようになった。この大量輸入は発展途上国にも大きな影響を与えている。  豊かな国に住むものは、飢えが「自然淘汰」だと考えてはいけない。この言葉はアフリカや貧しい国の人の、骨が浮き出るほどのやせ細った姿を見た時に、自分の良心に訴えかけられ耐えられなくなった時に頼る都合のよい便利な言葉なのだ。


問題視されていること

食糧高騰

 2006年頃に穀物の価格高騰が始まった。原因の1つに小麦の世界的な不作にある。そのため小麦相場が高騰し、ユーロ高が重なりEUでは小麦の国際的競争力が失われた。また「エネルギー政策法」に基づいてアメリカ政府が導入したエタノール政策による世界的なエタノールブームも関係している。トウモロコシから作るバイオエタノールというものである。バイオエタノールとは植物由来の資源から作る燃料である。この政策はトウモロコシに対する新しい需要を作り出し、それに補助金をつけてエタノールに価格競争力を持たせ、輸入エタノールには高関税を課してエタノール産業を保護しようとした。この結果トウモロコシ価格は高騰しただけでなく農地面積も増加し、他の農作物(大豆など)の農地面積が減ってしまった。また食用のトウモロコシの流通が激減した。地球温暖化の対策のために作られたバイオエタノールだが、食糧という観点に新たな課題を生んでしまった。

廃棄問題

日本の外食産業などが1年間に廃棄する食品の量は1200万トンと推定されている。そのうちの500~900万トンがまだ食べられるものであるという日本の食料の廃棄量は世界的にもトップクラスである。食料自給率の低い日本は大量の輸入に頼っていると前述したが、その輸入した食料を大量に廃棄しているのだ。このようなことが許されるのであろうか。

穀物が家畜のエサになる

貧しい人達の生活

国内での収入格差が大きい都市では、その都市のごみ置き場周辺に貧しい人たちが群がるといったこともある。そのごみ置き場には裕福な人々の食事の残りなどがたくさんある。その中で良いものを選別して家に持ち帰り、それがその家族の食事になる。しかしこれは安全ではない。この食事を続ければ寄生虫などが腸内に住みつき、何らかの病気の原因になる可能性が非常に高い。それでもこのような食事を続けなければ生きていくことができないのだ。そしてこの危険な食事は次の世代にも影響され、障害を持った子どもが高い確率で生まれてしまう。この問題は早急に解消すべきことである。裕福な家庭の人のごみが貧しい人にとっての食料なのである。生まれる前から人間のドラマは始まっている。赤ちゃんはお腹がすくと大きな声で泣く。しかし貧しい国の飢えにさらされた赤ちゃんは次第に空腹を訴える力もなくなり、やがて死んでいく。人の脳はすでに胎児の時から母親の栄養状態に左右される。

食糧問題への対策

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