難民問題7

出典: Jinkawiki

2016年7月30日 (土) 22:11 の版; 最新版を表示
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難民とは

難民とは「難民の地位に関する条約」に「人種、宗教、国籍、政治的意見や、または特定の社会集団に属するなどの理由で、自国にいると迫害を受けるか、その恐れがあるために他国に逃れた人々」と定義されているが、現在では環境の悪化や武力紛争、人権侵害などにより他国に逃れる人も難民と呼ばれている。難民はアフリカが多いと思われているが、実際は中東やアジアが多く生まれている。また、シリア難民など多くの難民が逃げている国はトルコであり、トルコのような多くの難民を受け入れている国は、難民を生んでいる国々の隣にあることが多く、難民は母国の近くの国々に逃げている。 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR) によると、世界の難民や難民申請者、国内で住居を追われた人の数の合計が2015年時点で推計6530万人に上り、第二次世界大戦以降で最多となったと発表した。2015年末の数字は1年前と比べて約500万人増加しており、世界で113人に1人が難民化していることを示している。この難民の内半数以上がシリア、アフガニスタン、ソマリアの3カ国だけで占められているという。


日本と難民の関わり

日本は1981年に「難民に地位に関する条約」に加入したが、難民認定人数が少なすぎて年に1~3人程度しか認定していない。2015年の難民認定の申請数は前年比52%増の7586人で、5年連続で過去最多を記録した。これに対して、認定数は27人で前年より16人増えた。しかしシリア難民をとりあげてみると、2011年以降63人のシリア人が難民申請して認められたのは3人である。

日本は他国よりも条約の定義を厳密に守っていて、迫害の証明を日本語に訳した書類を申請者に提出しなければならないなどの厳しい審査が行われている。なぜ日本の審査が他国より厳しいのかというと、出稼ぎ目的の偽装難民が多いことが原因である。日本では2010年に難民認定制度が改正され、申請者が申請中に生活に困らないようにという配慮から、外国人が難民申請すると6ヶ月後には難民認定されていなくても自動的に働けるようになった。その結果申請者の大半が偽装申請であるという疑惑がある。 しかし日本もかつては1978年から2005年までインドシナ難民総数144万人中11,319人を積極的に受け入れていた。インドシナ難民とは、1975年にベトナム・ラオス・カンボジアのインドシナ三国が社会主義体制へ移行した際に、国外に脱出して難民となった人々のことである。


日本で暮らす難民

難民申請中の人の多くは、生活基盤や法的地位が不安定な状況の中、申請結果が出るまで長い場合は5年以上の間、先の見えない苦しい生活を送っており、ホームレス生活をしている難民もいる。現在の日本では、難民申請中に滞在するために資格を誰もが保障されているわけでない。 難民申請者の多くは、国民健康保険にはいれないので、医療費を払うことができず、病院に行くことを我慢し病気を悪化させてしまうケースが多くある。 さらに迫害の証明を日本語に訳した書類を申請者に提出しなければならないなどの、日本での難民申請手続きについて事前に情報を得てから逃げてくるわけではないので、逃げてきてからさらに苦労を重ねることもある。

また難民認定されたとしても、今までの生活が変わるわけではなく、日本語の壁や社会での差別などから、自分の希望の職に就くことも難しい。しかし難民認定をされると最低限の生活保障と、迫害の恐れがある母国に返されることもなくなる。


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