移民4
出典: Jinkawiki
移民の今
移民は1980年代から増加傾向にある。増加のペースは一定ではなく、1990年代には増加率が低下したこともある。 国連の推計によると、67億の世界人口のうち、約1億9000万人(3%弱)が出生国以外の国で暮らしている。 移民は比較的少数の国に移住する傾向があるため、それぞれの国では人口のかなりの部分を占めることもある。 移住は基本的に、貧しい国からより豊かな国への移動と説明される。1970年代半ばでは、世界の移民の50%弱が開発途上国に、42%がより開発の進んだ国に移住していた。今日では、開発途上国に暮らす移民は世界の移民の三分の一だけであり、60%がより開発の進んだ国で生活している。
なぜ移住するのか
人々が外国への移住を強いる要因とそれを可能にする要因は社会学者と経済学者によって、「プッシュ」と「プル」という言葉で説明される。 「プッシュ」は経済力など、本国での状況を表し、「プル」はまともな職への就職の見込みなど、移住を考えている国の状況を表す。 プッシュ要因とプル要因は常に変化しており、両者のバランスも同様である。そうした変化が一因となって、移民数が大きく増減する。
これからの移民と課題
ある程度は確実に予測できることの一つとして、これからも移民が続くということである。 アフリカの平原で何千年も前に始まった移住の旅は、今もなお続いており、人類がこの地球を故郷と呼ぶ限り続くだろう。 国際移民の現象は驚くほどの速さで変化しうる。移民送出国でも移民受入国でも政府や国家はこうした変化への対処に苦慮することがあり、今日の政策では明日の現実に対応できないかもしれない。こうした課題は、過去と現在の教訓が活かされなければ、いっそう困難なものになる。 国際移民という現象からわかることが一つあるとすれば、過去の経験と他国の経験から学ぶべきことが多くあり、状況の変化に応じなければ、高い代償を払うことになる、というものである。OECDの重要な使命は、各国と協力してこうした経験を共有し、そこから学ぶことである。 移民はOECD諸国にとって好機でもあり課題でもある。人口の高齢化によって、特にビジネス界からの移民の需要がさらに高まることになるだろう。 国内労働者への訓練と教育の改善と退職年齢の引き上げを含むより幅広い改革が必要だろう
参考文献 「よくわかる国際移民」 ブライアン・キーリー 著 OECD 編 濱田久美子 訳
Y.S