ユダヤ教9

出典: Jinkawiki

2019年1月17日 (木) 16:57 の版; 最新版を表示
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目次

ユダヤ教の概要

ユダヤ教はキリスト教が誕生した時点ですでに千年以上の歴史を持っていた。キリスト教が分派してからも健在であり続けているので、今ではざっと三千年の歴史を誇る最長寿の宗教の一つである。 ユダヤ教を奉じるのがユダヤ教徒だが、ユダヤ人といってもほぼ同じである。由緒正しい民族名は、イスラエル人、あるいはヘブライ人である。そのユダヤ人の歴史的故郷は、中東のパレスチナである。古代中東には、アッシリア、バビロニア、といった大国があり、パレスチナには様々な都市国家が栄え、隣のアフリカ大国にはエジプトという大国があった。そのいずれにも属さない無名の少数集団がユダヤ人の起源である。

神と戒律

ユダヤ人は、ヤハウェと呼ばれる神の掟を守る民として団結していた。彼らは、ヤハウェを「唯一神」と考えた。天地を創造したたった一人の神様である。天地を創造したということは、天地に対して倫理的な責任を持っているということである。この創造神は、自分たちユダヤ民族を倫理的に導く神様である。個人の救いではない。民族の社会的正義に焦点が置かれていることに注意したい。 ユダヤ教徒のこだわりは、先祖伝来の様々な掟である神の戒律を具体的に守ることであった。これを書き記したのが「律法」と総称される創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記という五つの書物である。

信仰の歴史

ユダヤ民族は、紀元前10世紀前後にダビデ王やソロモン王のもとに統一国家(イスラエル王国)を持った。しかし国家の繁栄は長続きしなかった。王国は分裂し、異国の侵攻に遭った。ついには、大国バビロニアの首都バビロンに捕囚される事態となった。預言者と呼ばれる宗教的知識人たちは、「なぜ神を信じているのにこんな目に遭わなければならないのか」と自問した。預言者たちは、自分たちが倫理的に堕落しているから、このような試練に遭うのだと考えた。国家が当てにならなくなって以来、ユダヤ人たちは聖書を学び、神の掟を実践することで民族としての団結を保持するようになった。古代から中世に向かう途中で、ユダヤ人はタルムードという書物を編纂した。律法は日常生活への適用をめぐって古代において種々の口伝を生んでおり、様々な議論が展開していたが、こうした議論の内容を集大成したのがタルムードである。タルムードは通例、準聖典ともいうべき扱いを受けている。かくして、律法やその解釈の歴史に詳しいラビ(先生、学者)を中心に、シナゴーグ(集会所)で伝統の教えを研究し、知識を学ぶという生活様式が生まれた。こうしたライフスタイルが基本的に今日まで続いている。

旧約聖書

ユダヤ人は紀元前数百年ころには、たくさんの聖なる文書を持つようになっている。律法の五書、イザヤ、エレミヤ、エゼキエルといった預言者の言葉をまとめた十数冊の書、ほかに四編や箴言やヨブ記などである。これら約四十冊を合本したのがユダヤ教の聖書である。 なお、「旧約聖書」というのは厳密にはキリスト教徒の呼び方であり、ユダヤ教徒はこの呼び名を用いない。三部構成になっているので、それぞれの部の名前を並べて、「律法、預言者、および諸書」とか、あるいはこの三つの五の頭文字T,N,Kをヘブライ式に読んで「タハナ」などと呼んでいる。


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