キト
出典: Jinkawiki
キトとは、地理教科書によく出てくる、南アメリカのエクアドルという国の首都である。この首都キト(Quito)は、赤道直下の町として知られている。国の名前であるエクアドル(Ecuador)は英語で赤道を意味する(Equator)と同じ意味を持つ単語を使っている。つまり、スペイン語で赤道という意味を持つ国名である。しかし実際には赤道はこの町キトの約15㎞北を通過しており、中心市街地は赤道直下ではないのである。
キトの気候 キトは高地都市としても知られている。海抜2850mというが、実際にはその前後の高さといった方が正確である。セントロ(中心)地区のすぐ西側の小さな山は、海抜3000mを少し上回る高さであり、周辺にはもっと高い山がたくさんある。アンデス山脈の中のアルティプラノ(高原)の小盆地に発達した都市で、これだけの高度であると、一年中を通じて、少なくとも気温の上では快適な気候であるといえる。驚くことに一年中を通して月平均気温は13±0.2℃である。この気温は常に東京の4月なみの気温だからである。日によって多少違ったり、日較差もあるが、この町から外へ出ない人は夏服も冬服もいらないのである。もしキトが低地にあったとしたら、当然赤道の近くに位置しているので、毎月の平均気温は25℃くらいになり、東京の7月並みの気温となる。
キトの様子 キトの人口は84万人である。外港のグアヤキルがキトより大きくなって人口117万人に達しているがこれは、キトのような山の中では、経済活動に不便があるからであろう。変化に富む地形、街並みが美しい首都キト、温暖な気候に豊富な農作物といった明るいイメージの一方で、これと言った産業も資源も無く、インフレにあえぐ南米の中でも、ひときわ貧しい国でもある。2000年には歯止めのかからないインフレ対策のために、ついに自国通貨スークレを捨て、米ドル導入という思い切った手を打った。コロンビアやペルーに比べて治安も安定しており、物価も安く、気候も温暖なため、南米旅行者には比較的旅行しやすい国である。ただキトの標高は高い(2800m)ので高山病には注意が必要である。さまざまな問題はあるが、キトは一国の首都として、政治・文化の最大中心となり、住宅地が大きく拡大している。
参考文献 星沢 哲也 新編 地理資料 2007 東京法令出版 エクアドル http://syd.fc2web.com/tabi11.htm