パレスチナ問題2

出典: Jinkawiki

2009年1月16日 (金) 11:04 の版; 最新版を表示
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パレスチナ問題

  • パレスチナ

地中海東岸の細長い地域。 日本の四国を一回り程大きくした面積の土地である。大昔から、世界中のモノとモノ、人と人とが行き交う「文明の十字路」であった。 そして、3つの一神教共通の聖地という、世界でも独特な場所となった。 その支配者は、さまざまな多神教徒、ユダヤ教徒、キリスト教徒、イスラーム教徒の間で、何回も交代した。


  • イスラエル

ユダヤ人(教徒)移民が1948年に建国した新しい国家である。この建国に伴う戦争で、1949年までにパレスチナ全土の4分の3強を獲得し、1967年の戦争で残り4分の1も占領下に置いた。新しい占領地は、「ヨルダン川西岸地区」(東エルサレムを含めた広さは埼玉県くらい)と「ガザ地区」(東京都23区くらい)で、現在、計約400万人のパレススチナ人が暮らしている。


  • 入植地

この占領地には、イスラエルが67年以降に建設した、130か所ほどの入植地に約45万人のイスラエル・ユダヤ人が住んでいる。このような入植活動は国際法違反であるが、イスラエルは、今も入植地のしんぞうせつをやめてはいない。


  • パレスチナ人

パレスチナの先住民のことで、大部分はアラビア語を話すイスラーム教徒(約90%)とキリスト教徒(約10%)である。イスラエル建国当時の人口は約130万人。49年までの戦争で、うち約75万人が、西岸・ガザ地区、その他の諸国へ避難した。67年の戦争でも新たな難民が生まれた。イスラエルは、以来ずっと難民の帰還を拒否し続けている。パレスチナ人は、奪われた土地と権利を取り戻すため、PLOをつくり戦い続けてきたが、未だ目的は達成できていない。


  • オスロ合意

PLOとイスラエルが対立を外国交渉で解決しようというもので、1993年にノルウェーの仲介で成立した。翌年、占領地の一部にパレスチナ自治政府ができ、96年には「議会」と「大統領」も選ばれた。しかし、最も重要な「エルサレムの地位」「難民の帰還権」「将来のパレスチナ自治体」(独立国家か、国家連合の一部か、自治州か、といったこと)「この政体の領土・領域」などの諸問題は、いずれも以後の「最終地位交渉」に委ねられた。


  • 現在

外交交渉による解決の見通しは立っていない。2001年、長引く交渉を一挙に片付けようとした。キャンプ・デーヴィッド首脳会談が失敗した。同じ年にイスラエルのシャロン将軍(後に主相)がエルサレムのイスラーム聖地を強行訪問。これに怒ったパレスチナ人とイスラエル治安当局の衝突を機に、流血の抗争が全土に広がった。(第二次インティファーダ)。中東最強のイスラエル軍、貧弱な武器で捨て身の抵抗をするパレスチナ人、非武装の一般市民を含め、犠牲者は増える一方である。 2008年暮れ、再びイスラエル軍のガザ攻撃が起き、現在でも続いている。パレスチナ側の死者は300人を超えたと報道されている。エジプトが停戦を持ちかけているが、イスラエル側はなかなか応じない現状がある。


  • アメリカによる支援

アメリカは安全保障上重要な国に対して「安全保障援助」(武器売却FMSと経済支持援助ESFなど)を行っている。この援助はエジプト、トルコなどの中東やエルサルバドル、ホンジュラスなどの中米諸国、ポーランド、ハンガリー、フィリピンといったアメリカにとって政治的、軍事的に重要な国々に対して行われています。1989年には全体で24カ国総額76億1870万ドルの援助のうちイスラエルに対する援助は30億ドルで全体の39.4%を占めている。90年には議会承認予算で総額78億6410万ドルのうちイスラエルは29億8710万ドル、38%で他国と比べて突出した援助を受けている。このほかにも無償の軍事援助などが行われている。湾岸戦争中、アメリカがイスラエルに対してパトリオット迎撃ミサイルを援助し、戦後も国防省が3億5000万ドル相当の武器輸出を決定したように経済援助だけにとどまらず武器の援助も続けられている。その結果、イラクが旧ソ連の援助で中東随一の軍事大国となったようにイラクに変わって核兵器をも持っているといわれるイスラエルがその地位を占めるようになっている。アメリカのイスラエルに対する援助はイスラエルの不当な占拠を容認することとなり、新たなる功罪、テロリストを産んでいるのではないかという意見は多い。


  • 「太陽の男たち」

1963年にカナファーが発表した小説である。この小説のなかで3人の男たちは、クウェートに出稼ぎに行こうとするのだが、あくどい密輸入国請負い人に莫大な金を請求されて、打ちひしがれる。そこで密入国を手伝って小銭を稼ごうという一人のパレスチナ人に賭けてみる気になり、空の給水タンク車に乗って、国境に向かうのである。それは、生命を暴力的に破壊し尽くす太陽と、焼けたただれた砂塵の世界だった。灼熱の太陽にさらされ、なぎ倒されそうな人間たちの姿は、そのままパレスチナ人の状況を映している。  国境の手前で、3人は空の給水タンクの中に身を潜めた。イラク側の検問所は通過できた。タンクの中から裸で這い出る男たちは、息も絶え絶えになっている。休息は少ししか与えられない。再び3人はタンクに入り、車は失踪してクウェート側の検問所に到着し、運転手は書類を抱えて事務所に飛び込む。しかし、国境の役人たちは、なかなかビザにサインをしない。ようやく車に飛び乗った彼は、全速力で国境を超える。しかし、タンクのふたを開けた時、3人は死体となっていた。3人をゴミ捨て場に捨てた後、運転手は「巨大な想念」に取りつかれる。そして、運転手は叫ぶ。「なぜおまえたちはタンクの壁を叩かなかったんだ…」と。(前掲 「太陽の男たち」)


  • 参考資料

日本パレスチナ医療協会パンフレット

「パラダイス・ナウ」千葉上映会パンフレット 上映会プログラム中のお話

パレスチナ 広河隆一 岩波書店


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