促成栽培
出典: Jinkawiki
野菜や花卉などの栽培方法(作型)の一つで、自然状態の普通栽培(露地栽培)に対して、より早く生産・出荷する栽培様式のこと。出荷が旬より早いので有利に取引され、収入が多く得られる。播種期が自然より早いので、加温あるいは保温した苗床に播種して育苗し、温室、ガラス室、ビニールハウス、ビニールトンネルなどの保温施設に定植し、その施設内で収穫まで育てる。促成の程度によって、早い順から促成、半促成、早熟の3つの作型に分けることが多い。 促成栽培は日本ではすでに、江戸時代から始められたといわれるが、本格的には近年になって発達した。ウドなどを旬より早く出荷するための促成栽培は早くから行われ、またイチゴの促成栽培も歴史が古い。現在では周年栽培の一環として、出荷期を定めた計画的な促成栽培が、キュウリ、メロン、カボチャ、スイカ、トマト、ナス、ピーマン、インゲンマメ、エンドウ、ホウレンソウ、シュンギクなど、きわめて多くの野菜やシクラメンなど花卉について、各地で行われている。 促成栽培には、冬季に晴天が多く温暖な地域、すなわち東海道、四国、南九州などの太平洋岸が適するが、特に大都市など消費地の近郊地帯で早くから促成栽培がおこなわれた。今では、交通機関の発達により消費地に遠い土地にも普及し、それらは集団的な促成園芸地帯を形成していることが多い。 例として、高知平野のナス、ピーマン、宮崎平野のキュウリ、ピーマン、カボチャなどである。
・花卉
花卉栽培では、秋から翌春にかけての寒い時期に花が少なく高く売れるので、このころの出荷を目標にして温室内で保温や加温をして栽培する。 球根類や高温処理や低温処理日数が長く、植え付け後、開花までの期間の短いものは生産者の経営戦略で出荷時期を決めることができるので、さまざまな呼び方をしている。
花卉耕種基準(茨城県、平成4年度版)から、促成栽培であると思われるもの
促成栽培、加湿促成、冷蔵促成栽培、電照促成、無加湿半促成、ハウス判促成、トンネル半促成、促成二度切り、シェード、〇月出し(冷蔵)、〇月出し(無冷蔵)、切り枝促成、株入れ促成、促成〇月出し、ハウス無加温など。
参考文献
・日本大百科全書14 渡邊静夫 1994 小学館
・ポプラディア情報館 日本地理 保岡孝之 2005 ポプラ社
・就農準備副読本1 Q&A農業一般 全国農村青少年教育振興会 2001 農山漁村文化協会
・就農準備副読本2 Q&A野菜 全国農村青少年教育振興会 2001 農山漁村文化協会
・就農準備副読本3 Q&A花卉 全国農村青少年教育振興会 2001 農山漁村文化協会