センターピボット
出典: Jinkawiki
センターピボットは、アメリカ合衆国のグレートプレーンズにおける灌漑方法である。
乾燥地域でも大規模に作物を栽培できるよう、地下水をくみ上げ、肥料を混入した後、自走式の散水管に圧送し、平均は半径400m、大きいものは半径1kmにもおよぶ円形農場に水をまく。散水器の周回数は気候や土壌、作物により異なるが、おおよそ一日1~12回程度で、移動速度の速い周辺部の散水量を多くして、散水の不均一を防いでいる。
この方法は、アメリカ合衆国だけでなく、サウジアラビアなどの、産油国でも使用されている。 センターピボット農法によって、サハラ砂漠でも作物を育てることが出来る。
乾燥地帯でも作物を育てることが出来るセンターピボット農法は、一見してとても有効な方法に見える。 しかし、現在この方法には大きな問題が発生してきつつある。
水資源の枯渇
まず第一、に水資源の枯渇が考えられる。
グレートプレーンズで使われている地下水は、オガララ帯水層と呼ばれる地下水層帯からくみ上げられている。しかし、現在はその地下水が全体の1/3もなくなっているという報告がある。これは、降雨がしみ込んで地下水を涵養する速度よりももっと速い、自然に涵養される速度の何倍もの速度で水を吸い上げているからである。「1秒間にオガララ帯水層の水が25mプール1つ分、380立方m減少しています」と語る学者もいる。この勢いで水を使い続けると、70メートルの帯水層は数十年で汲み尽くしてしまう。すでに、カンザス州などでは、水不足から離農する農家が出始めているが、こうした場所はすぐに円形のまま砂漠化してしまう。
塩害
乾燥地では水分が浸透・蒸発しやすい。そのため、安易な水分散布を行うと、地下深く存在していた塩分が水に溶けて塩水になる。センターピボット農法は、大量の地下水を散布するので直接作物に塩害は起こらないが、散布した水が土壌のミネラル塩層を透過しているので、排水には塩分が増える。