アサーション
出典: Jinkawiki
<アサーションとは>
アサーションとは、「自分も相手も大切にしようとする自己表現で、自分の意見、考え、気持ち、欲求などを正直に、率直にその場にふさわしい方法で述べることであり、また同時に、相手が同じように表現することを待つ態度を伴うもの。」である。つまりアサーションとは、自分の感じていることや気持ちや考えていることなどを、自分も相手も共に大切にする関係の中で誠実に率直に伝えていくことであり、相互の関係性を大切にした自他尊重のコミュニケーションである、と言うことができる。
そこには「一人一人の自己表現を大切にすること」や「自分も相手も大切にするコミュニケーション」といった意味が含まれている。アサーションとは、話す態度と聞く態度を備えたコミュニケーション・スキルの1つである。
アサーション(assertion)は、主張・断言などと和訳される。しかし、日本語としては少し強い表現という印象があるためアサーションの本来の意味にそぐわず、アサーションと和訳せずに言ったり、「(さわやかな)自己表現」と言ったりする。
<アサーションの歴史>
アサーションの発祥はアメリカで、1950年代に行動療法と呼ばれる心理療法の中から生まれた。当初は自己主張が苦手な人を対象としたカウンセリング技法として実施されていた。
そしてその理論は、1960~70年代に起こったアメリカにおける黒人差別に対する「人権拡張」「差別撤廃」といった公民権運動と密接にかかわりあっていった。アサーティブの考えと行動は、それまで権利や言動を圧迫され続けていた人達に大きな勇気を与えた。人は誰でも自分らしく生きる権利があるとするアサーティブの考えと行動は、黒人差別に対抗したこの公民権運動にはじまり、やがて女性差別に対抗した1970年代の女性解放運動に引き継がれていった。そして、アメリカでその理論を学んだ平木典子氏が日本へ紹介し、日本の風土にあった方法で実践を行っている。
<3つの自己表現>
人間関係の対人行動は大きく3つの自己表現のタイプにわけられる。
攻撃的な自己表現(自分だけのことを考え、相手を無視して自分を押し通す自己表現)
非主張的な自己表現(いつも自分を抑えて相手を優先し、泣き寝入りする自己表現)
アサーティブな自己表現(自分を大切にするとともに、相手のことも配慮する自己表現)
だ。もちろん身につける必要があるのが、アサーティブな自己表現である。
<アサーティブなかかわりかた>
アサーティブな行動とは、自分の言い分を一方的に突きつけるのではなく、相手の主張や欲求を受け止めると共に、自分の主張や欲求も当然の権利として表現していく行動である。相手の意見を侵すことなく、自分を自己表現する、自分も相手も大切にする人間関係のことなのだ。
・ ○アサーティブのポイント ○
1、自分の正直な気持ちを大切にし、ごまかしたり否定したりしない(誠実であること)
「自分の正直な気持ち」を修正しないことは、その気持ちに誠実であるということ。誠実とは、自分にも他者にも、嘘をつかないことが基本である。自分に嘘をつかないとは、自分の心の声に傾聴することが原点になる。そこには、相手や周囲のひとが、どう思うかで判断するのではなく、自分がどう感じているか、自分がどうしたいのかで判断する態度がある。
心にもない態度は、誠実から脱線した態度であり、対等であることとも密接に絡んでいる。私たちは、自分の気持ちをよく知っているようで、そのくせ、自分ことがよく分らないと言う。
自分の気持ち知る力は、自分を偽らないで相手に接するということで、相手に対して誠実に接することにもつながっていく。
2.自分も相手も対等な関係であることをしっかりおさえておく(対等であること)
対等とは、自分も相手も大切に、人権尊重の精神を反映した態度、行動である。言いやすい人にだけ言うようなすることをせずに、誰に対しても、分け隔てなく、どんな場面でも、態度を変えず、同じように接すること。相手と向き合うときには、自分も相手も尊重する。誰に対しても、分け隔てなく、どんな場面でも、態度を変えず、同じように接する。それが対等である。
3.伝えたいことを屈折させずに表現する(率直であること)
率直さを理解するキーワードは「自分も相手も大切にする」こと。正確には 「自分の感情よりも相手の感情も大切にして、そのために自分がどんな行動をとればいいのか、その最適を見いだし行動する」ことである。 人に自分の気持ちや要求を伝えるときには、どなったり、弁解したり、遠回しに言ったりしないで、率直に表現することが大切である。
4.表現したことについて、自分を責めたり不愉快になったりしない(自己責任)
自分の気持ちや要求を表現した結果、自分が望んでいない反応を相手が返す場合もあり得る。でも、相手がどう受け取りどう反応するかは、相手の領域である。
その反応によって、表現をした自分を責めたり、不愉快になったりしないことは大切なことである。