特別支援教育
出典: Jinkawiki
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特殊教育から特別支援教育へ
文部科学省は2001年に調査協力者会議を設置し、2003年3月には「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」を発表し、従来の障害種別と程度に応じた特殊教育から、LD、ADHD、高機能自閉症を含めて障害のある児童生徒の自律や社会参加に向け、「その一人一人の教育的ニーズを把握し」適切な教育的支援を行う「特別支援教育」を提起した。
この最終報告を受けて、中央審議会が答申を取りまとめ、その答申を踏まえて、2007年4月から、改正学校教育法が施行される。これにより、「特殊教育」がなくなり、「特別支援教育」となった。
特別支援教育とは
「従来の特殊教育の障害者だけでなく、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)、高機能自閉症を含めて障害のある児童生徒の自立や社会参加に向けて、その一人一人の教育的ニーズを把握して、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するために、適切な教育や指導を通じて必要な支援を行うものです」とされている。
また、この報告では、これまでの特殊教育から特別支援教育への転換に向けた仕組みづくりの基本的な考えとして、「個別の教育支援教育計画」「特別支援教育コーディネーター」「(広域)特別支援教育連携協議会」の3点、盲・聾・養護学校や小・中学校のあり方、さらに特別支援教育を支える専門性の強化が提言された。
学校のあり方
小中学校のあり方としては、「学校としての全体的・総合的な体制整備」が大切である。そして、従来の特殊学級や通級による指導の強力化が必要で、その一つのあり方として「特別支援教室(仮称)」が示された。
従来の盲・聾・養護学校については、障害の重複化を踏まえ、障害種にとらわれない学校設置を制度上可能にするとともに、地域において小中学校等に対する教育上の支援をこれまで以上に重視し、地域の特別支援教育のセンター的役割を担う学校として「特別支援学校(仮称)」の制度を改めることについて、法律改正を含めた具体的な検討が必要、と最終報告に示された。これを踏まえて、学校教育法が改正され、2007年4月から特別支援学校がスタートした。
特別支援教育の現状
文部科学省は2003年度から47都道府県で「特別支援教育体制推進(モデル)事業」を展開するなど、特別支援教育の推進に取り組んできた。これらの結果、2006年9月には全国の3万3,000校の小中学校の95%に校内委員会が設置され、92%に特別支援教育コーディネーターが指名されるなど、急ピッチで体制整備が進んでいる。また、各都道府県でも、特別支援教育や軽度発達障害をテーマとした研修や理解啓発事業が行われている。
しかし、これで子どもたちへの教育支援が満足できる水準になっているかといえばそうではない。形式的には大半の小中学校校内委員会が設置され、特別支援教育コーディネーターが設置されているが、これらがきちんと機能していないというのが現状である。また、このように小中学校には何とか形ができつつあるが、就学前の幼稚園や保育園、義務教育終了後の高等学校などの段階には手がついていないというのが現状である。
これからの課題
教員の専門性向上、教員の特別支援教育に関する基礎知識の向上、担任教員に対する学校内外からの支援体制の構築、教員養成課程の学生ボランティアなどによる学習支援員等の活用、個別の教育支援計画等によるPDCA(Plan-Do-Chek-Action)サイクルに基づいた支援の定着、保健・福祉・医療・労働等の連携、幼稚園・保育園における特別支援教育体制の整備、高校・大学における特別支援教育体制の整備、移行・就労支援策の拡充などがあげられる。
- 参考文献
よくわかる発達障害 小野次郎・上野一彦・藤田継道編 ミネルヴァ書房
特別支援教育の基礎知識 橋本創一・霜田浩信・林安紀子・池田一成・小林巌・大伴潔・菅野敦編著 明治図書