温室効果ガス
出典: Jinkawiki
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温室効果ガスとは
太陽光による熱を閉じ込める性質を持つ気体のこと。二酸化炭素(CO2)やフロン、メタンなどがあるが、全体的な量でいうと、半分以上を占めているのが二酸化炭素である。 しかし、温室効果ガスは、その性質にそれぞれ違いがあり、同じ量で比べたときに最も熱を閉じ込める効果があるのは、二酸化炭素よりメタンである。 温室効果ガスは大気中に極微量存在しており、地球の平均気温は約15℃に保たれているが、仮にこのガスがないと-18℃になってしまう。この気体は生命が生活していくために必要な温度をたもつため必要なものだが、産業発展と自然破壊によって大気中の濃度が急増していることが、温暖化を急激に進行させてしまったのだ。
温室効果ガスの種類
1998年に制定された「地球温暖化対策の推進に関する法律」の中で、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、代替フロン類、パーフルオロカーボン、フッ化硫黄の6種類のガスが温室効果ガスとして定められた。
二酸化炭素 炭酸ガスの呼び名で知られている。身近なものではビールや炭酸飲料、ドライアイスなどに使用されている。 二酸化炭素は石炭や石油などの化石燃料の他に、木や紙、プラスチックなどの物質を燃やす時にも発生する。 18世紀の産業革命以来、化石燃料が大量に消費され、大気中の二酸化炭素が急激に増加している。 メタン 天然ガスの主成分として主に都市ガスに使用されている。 メタンは有機物が空気の少ない状態で発酵する時に発生しやすく、水田や家畜の腸内発酵(はんすうによるゲップ)、家畜のふん尿などから発生している。 温室効果は二酸化炭素の21倍である。 一酸化二窒素 全身麻酔剤(笑気ガス)として使用されている。 温室効果は二酸化炭素の310倍である。 代替フロン類 化学式はハイドロフルオロカーボンの場合、HFCsと表示する。フルオロカーボン(FC)やクロロフルオロカーボン(CFC)などを含めて代替フロン類と言う。冷房、冷蔵機器の冷媒として使用されてきた。ハイドロフルオロカーボンは、二酸化炭素に比べて約1万1千倍もの温室効果がある。1997年にフロンの生産が禁止され、代替フロンが生産されるようになった。2020年には生産停止する予定である。 パーフルオロカーボン 化学式で、PFCsと表示する。二酸化炭素の何千倍もの温室効果がある。ハイドロフルオロカーボンやフッ化硫黄と共に、第3ガスと呼ばれている。 フッ化硫黄 化学式はSF6と表示する。フッ素と硫黄からできる化合物である。ガス器具の絶縁媒体などに使用されている。二酸化炭素の約2万3千倍もの温室効果がある。ハイドロフルオロカーボンやパーフルオロカーボンと共に、第3ガスと呼ばれている。
温室効果ガスの排出状況
二酸化炭素 全体の温室効果ガスの排出量1339億tに対し、2003年時点で94.0%を占める。地球温暖化の原因は二酸化炭素が約60%と言われている。 メタン 全体の温室効果ガスの排出量に対し、2003年時点で1.4%を占める。地球温暖化の原因は、メタンが約20%と言われている。 一酸化二窒素 全体の温室効果ガスの排出量に対し、2003年時点で2.6%を占める。地球温暖化の原因は、一酸化二窒素が約6%と言われている。 代替フロン 全体の温室効果ガスの排出量に対し、2003年時点で0.9%を占める。地球温暖化の原因は、代替フロンが約13%と言われている。 パーフルオロカーボン・フッ化硫黄 第3ガスの排出量は2003年時点で2.580万tある。半導体の製造や、冷媒などが原因で排出されている。
対策
京都議定書 1997年12月に、地球温暖化防止に向けて各国の取組の目標や国際的な仕組みを決めるために地球温暖化防止京都会議が開かれた。 今までも、何回か環境対策について国際会議が行われてきたが、産業を優先させず温暖化対策を優先にしっかりとした方針がだされたのは、京都議定書が初といえるかもしれない。議定書の中心となっているのが温室効果ガスの排出量が多い先進国などの削減目標である。この削減目標を達成するために、京都メカニズムと呼ばれる仕組みがある。 京都議定書に署名した各国が、2012年までに達成する排出量の削減目標を設定し、それに向けて社会の方向性や対策を立てている。 削減目標達成の為に、各国が協力して削減対策を行ったり、削減量取引をするなど、効率よく各国が削減していけるような仕組みが作られている。
また、温室効果ガスがビッグマーケットとして注目されている。 京都議定書には、削減目標を達成するための様々な仕組みが組み込まれているが、その中でも国際取引としての史上が確立されつつあるのが、炭素マーケットである。これは、目標を上回った分の排出量を他の先進国に売ることが出来る、「排出量取引」を利用したものである。 社会全体の対策手段や一人ひとりの削減努力によっては、削減目標を上回ることが出来る。これを削減達成が難しい地域や企業が購入することで、購入した分を自分の削減量として加えることが出来るという仕組みである。より温室効果ガスを減らせば、国も会社も得をして地球環境も守ることが出来るという仕組みということだ。 共同実施も行われているる。 温室効果ガスの削減目標値を定めた先進国同士が、資金・技術面で協力し合って環境対策事業や新しいエコ技術を開発する上で削減できた分を分け合うことが出来るという仕組みだ。 単体では足りない部分を、お互いに持った高い技術と資金を出し合い・協力することで相乗効果が生まれる。そこで生まれた削減量は、共同実施を行った国どうしで分け合うことができるのだ。 また、クリーン開発メカニズムもある。 途上国では、温暖化対策によって産業の発展に支障が出ることを考え京都議定書には署名していないところが多くある。そこで、京都議定書には、先進国が途上国に資金や技術提供を行うことで環境対策を行う仕組みがある。 一定の排出量削減をしなければいけない先進国が途上国に協力して、途上国内で温暖化対策を行った事業や開発を共同で行うことにより途上国の発展にも協力し、そして温室効果ガスの排出量を減らすことが出来た場合、先進国の削減量として加算することが出来るのである。
京都議定書発行後の世界の取り組み
世界各国の削減目標 イギリスやイタリア、ポーランド、ドイツなどのEUは環境先進国と呼ばれている。イギリスでは京都議定書が作成された時点で2012年までにマイナス8%の削減目標を設定した。 しかし、風力発電やエコディーゼルの導入、街の車道を減らして路面電車を復活させるなど、かなり積極的で迅速な環境対策により、実際には15%の削減が可能だと言っている。 また、京都議定書の署名からは国益を損なうという理由から離脱したアメリカも、マンションやビルの建設に規制を定め、グリーンエネルギーや緑化対策を行っているものにしか建設することが出来ないという地域もある。 その他に、削減目標が設定されていないオーストラリアでもスクールバスを路線バスに組み込み、本数や利用地域を増やすことで車での通学を減らしている。 日本の対策 日本の削減目標は6%ですが、京都議定書制定時より7.7%もふえてしまっているのが現状である。温室効果ガスの排出量が環境対策への取り組みは、他の先進諸国と比べてもかなり出遅れている状態といえる。 先進国としても京都議定書の議長国としても、目標地を達成できないということにならないように、これまで以上に必死で環境対策を行う必要がある。 東京都では条例でビルごとに排出量の規制を行う条例が定められた。また、24時間営業が当たり前のコンビニの営業時間を短くするなどの提案も行われている。コンビニや自動販売機は日本全国で見られる便利なものだが、温暖化への影響はかなり大きいのだ。 一人ひとりが現在の高エネルギー消費社会の便利さを考え直さなくては、達成できない。
参考)http://eco.pref.miyazaki.jp/gakusyu/ondan/ondanka/ondanka.htm
http://www.eco-juku.com/topics/onshitsu.html
http://www.ginzado.ne.jp/~recycle/onshitu.htm
http://www.plus-ondanka.net/b01_gas.html http://www.okiden.co.jp/environment/report2007/03/03.html