ナショナリズム
出典: Jinkawiki
目次 |
ナショナリズム
定義
ある民族や複数の民族が、その生活・生存の安全を守り、民族や民族間に共通する伝統・歴史・文化・言語・宗教などを保ち、発展させるために国民国家(nation-state)を形成し、国内にはその統一性を、外国に対してはその独立性を維持・強化することを目指す思想原理や政策、あるいは運動の総称。
日本語と英語のナショナリズム
今日の日本では、自分の属する「民族」の力や文化が他より優れていると誇ったり、その利益のために他の「民族」を圧迫してもよいと考えたりする傾向、あるいは愛国心にこりかたまった言語をさして、しばしば「ナショナリズム」ということばが用いられている。ナショナリストと聞くと、すぐに右翼を想いうかべ、拒絶反応を示す人もいる。しかし、それは国際的な常識から見ると、かなりかたよった考え方である。
英語では“national”と“popular”の意味はわりと近い。「ナショナル」は「国民みんなの」というニュアンスが強い。「ナショナリズム」は、英語の“nationalism”をカタカナにしたものだが、今日の日本語とは、だいぶニュアンスがちがう。ナショナリズムから、すぐに右翼を連想するのは、第二次世界大戦後の日本に独特の風潮かもしれない。「国粋主義」や、「ウルトラ・ナショナリズム(超国家主義)」などと呼ばれる戦時中の思想を拒絶するあまり、そういった傾向になったと思われる。ナショナリズムの語は、ひとによって、ずいぶんちがう意味で用いられている。ナショナリズムについても、他の多くのことと同様、今日の国際的な常識はヨーロッパやアメリカを基準につくられている。ヨーロッパ語のナショナリズムは、「国民国家」と広い意味での「文化」とが深く結びついた言葉である。soda
引用・参考文献
鈴木貞美『日本の文化ナショナリズム』平凡社新書 2005年