アメリカの貧困対策
出典: Jinkawiki
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貧困対策
1929年の世界大恐慌に対処するために、フランクリン・ルーズベルト大統領(民主党)によって行われたニューディール政策にまで遡ることができる。1935年には、社会福祉法が制定され、住宅供給のための法整備なども行われた。その後、1960年代には、ジョンソン大統領(民主党)が「貧困との戦い」を政策に掲げ、恒常的な貧困者をなくすため、メディケイド(低所得者向け公的医療保険制度)メディケア(高齢者や障害者を対象とした公的医療保険制度)やフードスタンプ(食料引換え切符)等の制度整備を行った。
アメリカでは「機会の平等」を保障することは重視するが、資本主義の結果として、ある程度の「格差」は当然であるとされていた。しかし、極端な所得格差が世界的な問題として新たに着目される中、社会における所得分配の不平等さを測る指標であるジニ係数が、アメリカは先進国中で最も高いことを引合いに出すような記事も、昨今はみられるようになってきて(注3)いる。
問題点
貧困者が福祉に依存し続けることが問題視されるようになった。1990年代には、まず、医療費抑制のための医療保険制度の大幅な改革が行われた。そして、クリントン前大統領(民主党)在(注1)任中の1996年に、福祉の現金給付を切り下げ、給付にあたり就労を条件とする等を内容とした福祉制度大改革の(注2)法案が成立した。
2007年1月24日には、下院の予算委員会で「貧困の経済的および社会的コスト」と題する公聴会が開催された。
好景気であった1990年代は、アメリカの貧困率(世帯の収入が、「貧困ライン」と呼ばれる特定の金額を下回っている人が、全人口に占める割合)は、低下していたが、2001年からの不況の影響もあり、その後、貧困率は再び上昇していた。
また、近年では、貧困者が福祉依存者となり続けるという1996年の福祉制度改革時に問題とされた点についても、変化が認められている。
ワーキング・プア
16歳以上で年間27週以上を労働力(就労中または求職中の状態)として過ごしているにもかかわらず、貧困ラインを下回る所得しか得られない者を指している。
参考・引用文献
井樋三枝子 アメリカ貧困対策の現状