18歳成人制
出典: Jinkawiki
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答申
法相の諮問機関・法制審議会は28日、臨時総会を開き、成人の年齢を20歳から18歳に引き下げるのが適当とする意見を取りまとめ、千葉景子法相に答申した。ただし、民法改正の時期は関連施策の実現が必要として「国会の判断に委ねるのが相当」との立場を維持した。今後、鳩山政権が法案化に向けてどのような手続きを探るかが焦点となる。
7月、法制審民法成年年齢部会は公選法改正による選挙権年齢引き下げを条件に、成人年齢も引き下げるのが適当とする最終報告書をまとめ総会に提示していた。総会では「選挙年齢を条件とすれば消極的ニュアンスを与えかねない」との意見もあり、答申はこの条件を省いた。
答申は親の同意が必要だったクレジットカードやローン契約が18歳で可能になることに触れ「現時点での引き下げには(19、18歳の年齢層に)消費者被害拡大などの問題が生じる恐れがある」として、法整備までに若者層の自立を促す施策などの実現が必要とした。
憲法改正手続きを定めた国民投票法(07年成立)は、選挙権年齢を18歳以上と定め、付則で民法と公選法の年齢条文を10年の施行までに検討するとした。このため法制審は08年2月、是非について諮問を受けた。民主党は今年発表した政策集で、成人年齢と選挙権年齢の18歳への引き下げを明記している。
民法は成人を20歳と定めている。未成年者は、クレジットや高額売買などの契約行為は法定代理人の同意が必要と定めるほか、父母の親権に服する規定もある。政府の年齢条項の見直しに関する検討委員会によると、見直し対象の法律は191にもわたる。
きっかけ
成人年齢引き下げをめぐる議論が起きたきっかけは、07年の憲法改正手続きを定めた国民投票法の成立だが、法制審は同法にとらわれず、成人年齢の引き下げの是非を白紙から議論した。しかし、内閣府が08年7月に実施した世論調査では、契約できる年齢引き下げに約8割が反対。18歳では経済的に親に依存し、自立できていないなどの理由が目立った。
18歳成人改革を後押しする5つの議論
①18歳はすでに精神的に成熟しており、大人であるという社会的評価を前提に、法整備の立ち遅れを指摘する議論
②18歳は精神的に成熟しているとまではいえないものの、成人年齢を引き下げることによって、大人としての自覚を高めることができるとする議論
これは教育改革の文脈で論じられることがあります。18歳で終了する中等教育が、大人になるための準備教育を完遂しておらず、2年間にわたる「成人意識 の空白期間」を生み、無自覚で中途半端な大人を生み出しているという指摘がある。
③少年犯罪に対する厳罰化を求める、少年法改正の議論
④参政権の拡充を求める議論
1、公職選挙法を改正し、国政選挙、地方選挙の選挙権年齢を引き下げ、あるいは地方自治法に定める条例制定請求権等の年齢要件を引き下げることで、若い世代の政治意識を高め、政治参加の機会を与えるべきであるとの議論(投票率の向上をねらいとして主張されることもある)
2、自治体合併の是非など地域政策の是非を問う住民投票の実施に際して、10代住民の投票権を認めている例があり、国政レベルでも同様に保障すべきであるとする議論
3、憲法改正の手続きを定める国民投票法で18歳投票権を定めると同時に、各府省が個別に管轄している成人年齢法制(選挙権年齢を定める公職選挙法、成年年齢を定める民法など)を整序すべきであるとの議論
⑤18歳成人が国際的潮流であることを受けた議論
国会図書館の調査では、世界の国と地域(合計193)の中で、18歳成人制を採用しているのが162に達している。