白人
出典: Jinkawiki
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白人
白人とは、白色人種の略である。もとはアフリカ人や南北アメリカ大陸の先住民と接触することになったヨーロッパ系の探検家、貿易商人、入植者を指し示すために生まれた言葉である。一般的にコーカソイドと呼ばれる。 コーカソイドとは、ヨーロッパ全土、西アジア、北アフリカ一帯に分布する人種群をいう。人類を便宜的に、コーカソイド、ニグロイド、モンゴロイド、オーストラロイドの4大人種に区別する考え方がある。コーカソイドは「コーカサス人のようなもの」という意味。ドイツの解剖学者、人類学者であるブルーメンバハが世界各地からの頭骨を好んで収集したところ、コーカサス地方由来の頭骨が美しかったため、これこそヨーロッパ人の祖先に違いないと考え、この名称をつけた。
形質
一般的に色素が少なく、明色の皮膚、虹彩、毛髪をもつものが多い。実際、白い肌に灰色、青色、緑色などの虹彩、そして金色や褐色の毛髪という組み合わせがみられるのはコーカソイドと分類できる。このように色素が少なくなる現象は、紫外線照射の弱い地方にのみみられるものである。アルプス以北のヨーロッパ、とくにスカンジナビア地方のように緯度が高い上に冬季は日照をほとんど受けない地方では、これらの特徴を持つ人がもっとも適応的である。白い皮膚、青い目、金髪と三拍子そろったものをブロンティズムと呼び、一種の突然変異と考えられている。この場合、皮膚は単に白いというだけでなく、内部の毛細血管の血液を映すため、ピンクにみえる。同じコーカソイドでも、低緯度地帯の日照の強い地方では、適応上、暗色の皮膚や虹彩、毛髪をもつものが多くなる。
波状毛を有する者が多く、毛髪断面の直径がモンゴロイドのほぼ半分と細いため、長く伸ばした頭髪や髭はふさふさと揺れる。体毛や頭毛の量は現生人類中最も多いが、頭部は禿げやすい。皮脂腺がモンゴロイドより発達し、一般に体臭が強い。小児の臀部に現れる児斑はほとんどみられない。二重瞼で、内眼角には涙丘が露出している。鼻は狭鼻で高くそびえ、唇は薄い。そしゃく器、とくに歯と歯槽部が退化しているために顎部が全体的に小さい。また歯列弓は小さい弧をなすが、おとがいは突出していることが多い。血液型についてみると、B型が比較的少なく、低頻度ながらA2型がみられRhマイナスが多い。
進化上の位置
分布
コーカソイドは、地域的な諸人種に分けられる。
①北ヨーロッパ人種
北ヨーロッパに居住し、明色の体表をもち、長頭、長身。
②アルプス人種
アルプス地方を中心とした中部ヨーロッパに居住し、明色の体表をもつが短頭で体つきはずんぐりしている。
③地中海人種
地中海沿岸に居住し、やや浅黒い皮膚と濃色の虹彩、黒髪をもち、長頭、低身長。
④東ヨーロッパ人種
東ヨーロッパに居住し、体表の色素が著しく薄く、短頭。
⑤ディティール人種
バルカン半島に居住し、濃色の毛髪と虹彩をもち、短頭、長身。
⑥南東人種
アラビア半島に居住し、浅黒い皮膚と濃色の虹彩と毛髪をもち、体つきはほっそりしている。
⑦アナトリア人種
西南アジアに居住し、アルプス人種に似ているが、短頭で肉厚な鼻を持つ。
⑧インド、アフガン人種
イラン、アフガニスタン、インド北部に居住し、体表の色素が濃く、やや幅広い鼻をもつ。骨格的にはコーカソイドだが、皮膚色が濃いため、「黒い白人」とよばれることもある。
このような分布は15世紀ごろのものであり、その後、ヨーロッパ諸国が世界各地に植民地をもつに及び、コーカソイドは原住民を駆遂して、地球上の温暖な地方に広く分布するようになった。たとえば、北アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカなどには、北西ヨーロッパからの人々が広く植民した。また中央および南アメリカには、イベリア半島、のちには北西ヨーロッパやイタリアの住民が大量に移住し、インディアンとの混血を進めた。シベリアには東ヨーロッパ人種が大幅に移住している。
インディアン
約二万年前にユーラシアから現在のベーリング海地域をへてアメリカ大陸にわたった先住民。現在のアメリカ合衆国における先住民インディアン人口は、約二百万人。近年では、コロンブスがアメリカ大陸をアジア大陸と誤解したことに由来する「インディアン」よりも、「ネイティブ・アメリカン」(先住アメリカ人)と呼ぶことが多い。
白人優越主義
白人は他の人種よりも優れているという信条を打ち立てて、主に黒人を排除しようとすること。代表的なものに、KKKがある。
今日コーカソイドは、地球上にあって政治的、文化的に優位にあたっているといえる。そのような背景があるためか、人類進化にあってもコーカソイドがもっとも進化した人種であると考える傾向がある。人類進化上、そしゃく器の退縮が顕著であるものが進化型であることを考えればそのことは認められるが、多毛であることや唇が薄いことは進化的要素が強いとはいえない。コーカソイドの起源として、後期旧石器時代のクロマニョン人との骨格形態の類縁関係があげられるが、かならずしも確実なものとはいえない。とくに、クロマニョン人の体表が明色であったと断定することはできない。
KKK
1866年にテネシー州で結成された秘密結社。奴隷制から解放された黒人を威嚇し、政治的進出を妨害して、白人の優越を誇示することを目的とした。1870年代に衰退するが、第一次世界大戦後に復活し、白人プロテスタントの優越性を唱えた。
【参考文献】
赤石書店 「アメリカにおける白人意識の構築―労働者階級の形成と人種―」(デイヴィッドRローディガー) 2006年8月31日
山川出版社 「アメリカ史のなかの人種」(山田史郎)2006年6月15日
小学館「日本百科全書」渡邉静雄